学校教職員の長時間労働を改善しようと、市教育委員会は「働き方改革プラン」を策定し、今年度から運用を始めた。時間外勤務の月80時間超をゼロにするなどの具体的な数値目標を掲げ、40の取り組みを実施し、長時間労働の抜本的な改善を目指す。その中で永田台小学校では、すでにさまざまな改革で労働時間短縮に取り組んできており、実践してきた校長は「まずは職員の意識を変えることが大事」とした。
2013年度に市教委が行った教職員の業務実態調査では、「過労死ライン」と言われる月80時間超の時間外勤務が小学校で27・5%、中学校で22・9%だった。また、授業の準備は半分以上が勤務時間外、中学校の22・2%で休日出勤8日以上(月平均)といった実態も分かった。こうした状況から「職員室業務アシスタント」を昨年度から導入するなどの対策を講じてきたが、抜本的な改善に至っていない。
プランでは22年度までに【1】時間外勤務月80時間超をゼロ【2】19時までに退勤する教職員を70%以上【3】健康リスク・負担感指数全国平均未満【4】年休取得日数を全員10日以上――の目標を掲げた。目標達成のために▽教職員版フレックスタイム制度の試行実施▽勤務時間外の留守番電話設定▽冬季の学校閉庁日の実施▽小学校高学年の教科分担制▽週2日以上の部活動休養日設定――など、40の取り組みを示した。勤務実態を正確に把握するために、ICカードで出勤登録を行う。
プランについて市教職員組合の担当者は「現状を見ると目標が高いと感じているが、しっかりと取り組むことが大事。教職員自身もワークライフバランスの意識を高く持つことも重要」と話す。
永田台小 改革で1時間短縮
この3月まで8年間、永田台小学校に勤務し、4月から日枝小学校に異動した住田昌治校長は、永田台小時代に教職員の働き方改革を進めてきた。
住田校長は永田台小で「ESD」と呼ばれる「持続可能な開発のための教育」を掲げ、それに基づく学校運営を行ってきた。「教職員の業務が増える中、今までと同じやり方では、仕事も学校も続かない」という。
業務見直しチームを作り、効率化を図った。例えば、授業終了後に3時間かかることもあった職員会議を「45分で終わらせる」と決めた。結果、会議は決定事項の報告や共有すべき情報を確認するだけの場になり、無駄な議論がなくなった。また、児童のノートを放課後に添削するのではなく、授業中にその場で指導することを勧めた。「子どもと向き合う時間が増え、その場で褒められれば子どもも喜ぶ」と語る。
永田台小では大半の職員が午後5時台に退勤し、改善前に比べて勤務時間が約1時間短縮された。プランにある4つの目標はすでにクリアしているという。「自分で時間を管理することは、結果として授業の改善にもつながる」と力説する。
「ハートを変える」
住田校長は「学校現場は何かを変えることに怖さがある」とした上で「ハードを変えるより、ハートを変えることが大事」と、働き方改革は校長らの決断力と教職員の強い意志があってこそ進められるとの認識を示した。
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