西日本豪雨で多くの犠牲者が出た中、洪水で浸水被害が想定される区域の学校や高齢者施設などに法律で作成が義務付けられている避難計画が市内の半数程度で未整備であることが分かった。一方、市ホームページにある洪水ハザードマップの閲覧数が急増するなど、浸水被害に対する市民の関心が高まっている。
学校・病院など対象
昨年6月に改正された水防法と土砂災害防止法では、浸水や土砂災害の想定区域にある学校や福祉施設、医療施設などに対し、防災体制や避難経路を含んだ「避難確保計画」の作成や避難訓練を実施するよう義務付けた。国は2021年度までに作成率100%の達成を目標にしている。
市危機管理室によると、市内の計画作成対象施設は2020で、今年3月末までに作られたのは712施設。4月以降に作成された施設もあり、担当者は「現在は1000施設を超えている」という。市は計画書のひな形を作り、残りの施設にも早期の作成を促す。
市担当者は「避難計画を作ることで水害や土砂災害を考えるきっかけにしてもらいたい。さらに訓練を実行して体制を確立してほしい」と話す。
マップ閲覧急増
市がホームページで公表している洪水時の浸水想定区域を示したハザードマップの閲覧数は、西日本豪雨前の1日数百件から最大で1万4千件に急増。マップは想定区域の世帯に配布されているが、担当者は「入手先の問い合わせが増えている」と話し、「これを機に災害の危険性を再確認してほしい」としている。
南区は2008年にマップを作成。今年3月に県が大岡川水系の浸水想定を見直したことから、今後、新しいマップが作成される見込み。
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