市立大岡小学校(近藤浩人校長)の5年生が横浜の伝統文化とも言える「横浜捺染(なっせん)」を使ってオリジナルのバンダナ作りに取り組んでいる。同校OBが続けてきた捺染をなくしてはいけないと児童が立ち上がったもの。製作にかかる費用はインターネットを使ったクラウドファンディング(CF)で集める。小学校では異例のCF挑戦に担任教諭は「単なるお金集めではなく、さまざまなことを勉強できる」という。
地場産業守りたい
同校6年生には以前から、捺染工場や縫製工場による協同組合「横浜ギルダ」が作った手ぬぐいが渡されていた。今年、その関係で同組合事務局長で大岡小出身の内藤信義さん(78)が同校児童に講演。横浜捺染でスカーフやバンダナを作っているものの、年々商品が売れなくなっていることや職人の後継者不足などで横浜の文化の一つとも言える捺染が消えかかっていることを知った5年1組の児童28人は「内藤さんの力になりたい」「自分たちで地場産業の灯を復活させたい」と思うようになった。
担任の益山正広教諭は「児童から誰かの、何かの役に立ちたいという強い意志を感じた」という。そこで、総合的な学習の時間のテーマを「横浜捺染」に設定。児童がデザインしたバンダナを捺染で作ることにした。
同校には指定のバンダナがなく、他校の児童も集まる遠足などの際に目印となる物がなくて困っていた。そのため、校章を入れたオリジナルバンダナ作りに取り掛かった。
しかし、捺染でのバンダナ作りには多額の費用が必要。児童は夏休みの間にインターネットを使って資金を募るCFの存在を知り、製作費集めに使えないかと考えた。益山教諭は、保護者や校長、教育委員会に経緯や児童の思いを説明。了承を得て、CFサイト「レディーフォー」で製作費40万円を募る企画を9月10日にスタートさせた。
益山教師は「CFは顔が見えない人にもプロジェクトを伝える必要がある。情報発信の方法やコミュニケーションの取り方を考えるきっかけになっている」と話し、単に資金を集めるだけでなく、考える力を養うことにつながっているという。
児童は内藤さんから話を聞いたり、捺染工場を見学するなどして、バンダナ作りを進める。同校の校章を模したバンダナのほかに、組合のメンバーと協力して開港160周年を記念したものも作る予定。CFは9月23日までに58人から42万5千円が寄せられ、当初の目標はクリアした。
内藤さんによると、捺染工場は最盛期、市内に約130カ所あったが、現在は10カ所以下。児童の挑戦に「最初は驚いたが、真剣に取り組んでくれて嬉しい」と全力で児童に協力していく。
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