勝海舟支える
南太田在住で大倉精神文化研究所客員研究員の増田恒男さんがこのほど、勝海舟の補佐役として、幕末から明治に活躍し、「横浜開港の恩人」とも言われる佐藤政養(せいよう)(1821〜1877)についてまとめた「佐藤政養とその時代-勝海舟を支えたテクノクラート-」を執筆した。
佐藤政養は勝海舟塾の塾頭として活動。幕府が神奈川に港を設ける際、さまざまな調査を行い、横浜が開港の地に適しているという意見を出し、それが勝海舟らの賛同を得て横浜港が作られたとされる。ほかにも、鉄道敷設の責任者として、日本初の鉄道を新橋-横浜間で開通させ、神奈川台場の設計にも携わるなど、横浜と縁が深い。1927年には横浜市立図書館で政養の「遺物展覧会」が開かれたこともある。政養は現在の山形県飽海(あくみ)郡遊佐(ゆざ)町出身。遊佐町では政養の業績をたたえる行事が今でも開かれている。
増田さんは「戦前の横浜では政養は高く評価されていたが、実証を伴うものではなく、事実とかけ離れていた事柄によるものがあった」という。その結果が戦後に政養の名前が横浜の中で忘れられたことにつながったとし、語られてきた内容を再検証し、政養の姿を伝えたいと考えた。
史料洗い直し
遊佐町からの依頼を受け、増田さんは政養の史料や証言を洗い直し、それを2014年から5年間、遊佐町の広報紙に連載の形で紹介していった。史料を検証する中で、勝海舟が政養と坂本龍馬に送った書簡が確認されるなど、新たな事実が判明したという。
増田さんは「日本の近代化の基礎を作り、横浜での功績も大きい政養の真の姿を本から垣間見ることができれば」と話している。
本は遊佐町が発行。A5判、約550ページ。2500円(別途送料など必要)。問い合わせは遊佐町役場【電話】0234・72・4523。
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