▼2021年が始まった。とはいえ、新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にある中、重苦しい空気が世界全体を覆い、本来感じるはずの新年を迎えた高揚感や期待感はほとんどない。新型コロナの蔓延は、日常生活の中で当たり前だった人と会うという行為を遠ざけた。それが物理的な人と人との距離を生むことになり、地域活動にこれまでにない影響を与えた。まつりや町内会館を使ったサロン、集会などが行えないことで、特に生活圏が身近な範囲である高齢者や子育て中の人は、孤立感を感じたであろう。自治会町内会などの地域活動は徐々に再開しつつあるが、常に新型コロナを意識しながらの活動が続くことになる。
▼地域活動は担い手も対象も高齢者であることが多い。感染症による健康被害を考えれば、行事や活動を積極的に行えない状況であることは認識したい。しかし、人とのつながりが断たれたために外出の機会を失って体力が低下したり、認知症の症状が進んでしまったという話も聞く。そうした人たちをどう支援していくかを考えるためにも、市や区はコロナの影響の実態把握に努める必要がある。
▼南区は地域活動再開へ向けたきっかけをつかんでもらおうと、南区連合町内会長連絡協議会とともに昨年9月、意見交換会「みなミ〜ティング」を企画。全16地区を4回に分け、連合町内会長と役員らが再開したい活動を決め、どうすれば進めることができるかを話し合った。これがきっかけとなり、お三の宮地区は昨年12月、地区社会福祉協議会が高齢者を中心とした「クリスマス会」をこれまでの町内会館での開催から吉野町市民プラザに切り替えて実施し、約80人が集まった。広い会場で密を避け、合唱の代わりに楽器演奏を行うなどの策を講じた。関係者は「久々に住民交流が図れた」と笑顔を見せた。こうした”成功例”を区全体で共有する仕組みを早急に作ることが必要であろう。
▼もう一つ進めるべきはオンラインの活用だ。コロナ禍で社会全体で急速に広がったビデオ会議は「集まって会議をする」という時間と手間を省いた。地域活動では町内会の会議や民生委員による高齢者宅の訪問に利用できれば、停滞している活動を前へ進められる。市や区はパソコンやスマートフォンに不慣れな人を対象にビデオ会議を行うための講座を始めた。今後、こうした動きを加速させるべきで、民間の知恵も借りながら、官民一体で進めてほしい。今年が新たな地域活動の始動となる一年になることを願いたい。
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