南防犯協会(岩田春男会長)と南警察署(田中武志署長)は8月25日、オレオレ詐欺などの特殊詐欺への注意を多世代に呼び掛けるイラスト動画の完成を発表した。「家族の絆で防ぐ、オレオレ詐欺」がテーマの動画は、お笑い芸人でイラストレーターの鉄拳さんが制作し、南警察署のWebサイトや鉄拳さんのYouTubeチャンネルで公開されている。
オレオレ詐欺に注意
鉄拳さんは「こんな〇〇は嫌だ」といったフリップ芸などで人気のお笑い芸人。2011年からパラパラ漫画を制作し、イラストレーターとしての才能も発揮する。
南署によると、南区内で7月末時点までに発生した特殊詐欺は17件で被害額は約1600万円。昨年の22件、7千万円から減少したが、一人暮らしの高齢者を狙ったオレオレ詐欺は増加傾向にあり、特に女性が騙されるケースが多いという。
南防犯協会などは、新型コロナウイルスの影響で対面で行う啓発活動が難しいと判断。社会貢献につながるパラパラ漫画などを作る鉄拳さんに注目し、多世代が気軽に見られる特殊詐欺の撲滅を目的としたイラスト動画の制作を依頼した。
子と孫世代にも
動画のタイトルは「守るべきもの」で時間は4分弱。南区のロータリークラブや商店街など、9団体からの支援もあり、地域に広く発信するコンテンツが完成した。
ストーリーは実際に起こった事件を基に作られたもの。主な登場人物は一人暮らしの高齢女性と息子、孫の女性。仕事や学業などに追われる中、離れて暮らす母親(祖母)への連絡がおろそかになって、母親(祖母)が詐欺被害に遭ってしまう様子が手描きのイラストで表されている。作中で流れる曲、ケツメイシの「こだま」が物語に合い、心に響く。
迷惑電話防止機能が付いた電話機の導入など、未然に被害を防ぐための対策も紹介し、家族間でこまめな連絡を取り合うことの重要性を呼び掛ける。現在は、南署のWebサイトや鉄拳さんのYouTubeチャンネルで公開されている。
経験談で注意喚起
25日、額に大きく「絆」と書いた鉄拳さんが南署で行われた感謝状の贈呈式に出席。同協会の岩田春男会長と南署の田中武志署長から感謝状が手渡され、2人から感謝の言葉が送られた。
鉄拳さんは20歳の時に「80万円のとある教材を買えば、旅行や電化製品の費用を安く賄える特別なカードが手に入る」との電話がかかってきて、80万円を騙し取られたという自身のエピソードを紹介。高齢者に限らず、うまい話に乗っかりやすいとされる若者に対しても注意を呼び掛けた。
企画に携わった同協会の山典子さん=人物風土記で紹介=は「高齢の両親(祖父母)と連絡を取るきっかけになり、詐欺被害が減少することを願いたい」と話す。今後は動画をDVDにして南区の各連合町内会に配るほか、公共施設での放映なども検討している。
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