衆議院議員選挙の投開票が10月31日に行われた。自民党、公明党の与党が過半数を維持する中、前職と元職の2人が争った神奈川2区(西区、南区、港南区)は、自民党の前職・菅義偉氏(72)が約14万6千票を獲得し、立憲民主党の元職・岡本英子氏(57)に約5万票の大差で9回目の当選を決めた。南区の投票率は53・13%だった。
今年9月まで約1年間首相を務めた菅氏が圧倒的な知名度を背景に野党統一候補の岡本氏を大差で下した。
地元入り4日間
菅氏は安倍政権の官房長官として臨んだ前回の2017年衆院選では、選挙期間中、2区内で活動したのは1日だけで、そのほかの日は県内や東京の候補者の応援に回っていた。
今回は公示の19日を含めて計4日間、弘明寺や上大岡など、2区内で活動。26日は京浜急行で弘明寺駅に移動し、同駅付近から弘明寺商店街を練り歩き、多くの人から記念撮影を求められるなどの人気ぶりだった。各所で行った街頭演説では、首相在任時に進めてきた新型コロナウイルス対策の「1日100万回」のワクチン接種やデジタル庁創設などの実績を示した上で「さまざまな政策がこれから回り始める。それを後押しして前へ進める役割が必要」と前首相としての責務を強調していた。
首相退陣で危機感も
コロナ対応に追われる中、8月の横浜市長選挙で菅氏が支援した小此木八郎氏が立民推薦の山中竹春氏に敗れ、内閣支持率が低下。結果的に退陣を迫られる形になっただけに、陣営からは「今までにない危機感を覚えている」との声も聞かれたが、終わってみれば得票率は過去2番目となる約61%だった。
31日午後8時過ぎにテレビで当選確実が報じられると、地下鉄弘明寺駅そばの駐車場に設けられた会場に集まった約80人の支援者から歓声が上がった。その20分後に姿を見せた菅氏は「1年間という短い期間の総理大臣だったが、国民のために働く内閣としてさまざまな改革を進め、挑んできた」と語り、脱炭素社会の実現やデジタル庁の推進、不妊治療の保険適用などを「前に進めていく責任がある」とした。
「野党統一」も及ばず
敗れた岡本氏は告示直前の13日に立候補の見送りを決めた共産党の支援も受け、野党統一候補として菅氏に挑んだ。
市長選で菅氏を批判し、IR(統合型リゾート)誘致反対の立場で山中氏を全面支援した横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫会長が19日と29日に応援演説を行い、政権批判票の取り込みを意識した選挙戦を展開。岡本氏は「コロナ対策、社会保障、経済対策などに国民が不安を感じている」と政権交代を訴えたが、届かなかった。
31日、落選確実が報じられると蒔田公園そばの事務所で「申し訳ありませんでした」と力不足だったとした。
横浜市内全体の投票率は56・07%。2区の投票率は56・00%で過去最低だった前回を5・06ポイント上回った。南区は53・13%で前回比4・94ポイント増。市内18区中14番目だった。
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