横浜市は、カジノを含むIR(統合型リゾート)事業の撤回に伴い、IR推進事業費として計上していた今年度予算の3億6千万円を11月をめどに清算する。外部との委託契約などを含めると約8割が執行見込みとなっているが、市はそれらの契約見直しも進め、12月の減額補正に間に合わせたい考えだ。
調査分析などに充当
IR推進費は2020年度に4億円、21年度は3億6千万円が計上された。主な使途は、いずれもIR事業者の公募・選定などに関わる専門的な調査分析をはじめとしたアドバイザリー支援や法務支援、また、IRを整備する際のインフラや交通アクセス対策の検討調査、依存症対策、説明会や広報紙配布などの広報関連などとなっている。
8月の市長選でIR誘致反対を掲げた山中竹春氏が当選したことで、市は9月10日にIR事業者の公募を中止し、10月1日付で担当部署の「IR推進室」を廃止した。同時に同推進室に所属していた職員の一部が事業収束を担う「業務調整課」に配置された。
同課によると、外部との委託契約期間が今年度末までの案件などがあり、現状で約2億8千万円が執行見込みという。しかし、誘致事業自体が撤回されたため、委託先に説明を行い、今後の執行停止、契約変更などを行っていく。そして、11月中をめどに支払いなどの清算を進める。同課は「執行見込み額をどこまで抑えることができるか精査している」としている。
コロナで想定外に
市は当初、IRの実施方針案を20年6月に公表予定だった。しかし、新型コロナの影響で国の基本方針公表や申請受付が大幅に延期となり、市が実施方針を公表したのは今年1月。国への区域整備計画申請は市長選を挟むという想定外のスケジュールになった。また、19年12月から20年3月までに全18区で開く予定だったIR誘致の市民説明会はコロナ禍で6区で開催できなかった。今年に入ってオンライン説明会を行うなどしたが、想定外の状況が続いた。
市のIR誘致撤回について、NPO法人ゲーミング法制協議会の理事長で政府の特定複合観光施設区域整備推進会議委員を務める美原融さんは、「市民の理解と支持を時間をかけてでもしっかりと説明しながら進めていくことが求められていたはずですが、この舵取りを誤ったというのが実態でしょう」と指摘した。
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