横浜市はDX(※)の推進に向け、市民の利便性向上や魅力あふれる都市づくりを目的に「横浜DX戦略」の素案をこのほど策定した。行政手続のオンライン化を一層進める方針だが、同時にデジタル機器に不慣れな高齢者等へのサポートも求められそうだ。
市は行政手続(一部除く)の年間受付件数、約1900万件の9割程を占める上位100手続を、2024年度末までに100%オンライン化する方針を示した。総務省公表の「通信利用動向調査」では個人のスマートフォン保有状況が7割を超えていることなどから、市は多岐に渡る行政手続をオンライン化し、窓口業務の負担減や申請者の待ち時間短縮などを図りたいとしている。
上位100手続の内、件数の最も多い「図書の予約申し込み」(310万件)や「各種市民利用施設の利用予約申請」(220万件)などの31手続は21年度末までにオンライン対応済の状況だ。市担当者は「残りを24年度末までに完了させ、最終的には時間や場所にとらわれない状態にするのが理想」と語る。
「支援策の検討を」
100手続の中には「住民票の写し」や「戸籍全部・個人事項証明書の交付請求」など、マイナンバーカードを使ったシステムも少なくない。国の方針に従い、今年度中に市は同カード取得率目標を概ね100%としているが、6月1日時点で49・1%(総務省統計)と半数が未取得。また、特に高齢者の中にはスマートフォンを持たない人もいることからデジタルとアナログ対応のバランス感が求められる。
ある連合町内会長はデジタル化には賛成とした上で「使えない人へのサポートも検討してほしい」と話す。市担当者は「オンラインも従来の窓口対応も選択できるようにするのが基本的な考え方」とし、スマホを持たない人に向け「地区センターなど身近な拠点で申請できるような取組みを検討している」と語る。
市は9月末頃を目途に「横浜DX戦略」を策定する方針で、7月下旬から市民意見を募集する。
(※)DX…デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル技術を用いてさまざまな課題を解決し、新たな価値を生み出す変革のことを指す。「横浜DX戦略」の素案では、オンライン化により行政手続などで市民や職員が費やす労力(時間)の削減を掲げる。
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