保土ケ谷中央病院の院長を務める 後藤 英司さん 釜台町勤務 66歳
優しき瞳で心に寄り添う
○…「横浜船員病院」から名前が変わると同時に院長に就任し、来月で1年。地域医療に注力するため、町内会などの声を直接聞くことができる体制作りに奔走し、健康への啓発活動を実践してきた。「住民の意見を反映させ地域を切れ目のない医療の場としていきたい」。優しき眼差しはそのままに、熱き想いが言葉の節々から感じられる。
○…東京で生まれた後、父親の仕事の関係で仙台、横浜で幼少期を過ごす。野球や陸上、剣道などをたしなみながら、勉学では常に学年上位につける文武両道な少年は、小学4年生の時、心臓に病を抱え、1年間学校に通えない日々を送った。この辛い体験が、医師の道を志すきっかけに。「健康が当たり前で、病気で学校に行けないことに衝撃を感じた」。ひとつの病で、今までの日常が崩れたことで「心臓」に興味を持ち始めた。自身の病が医療人としての源流にある。
○…横浜市立大学の医学部に進学し、そのまま同大学病院へ。病気の完治を第一に、医療技術の進歩に食らいつき、最先端の治療法を身につけていった。当直医として勤務したある夜、腕に重傷を負った10代の少年が運び込まれ、やむを得ず切断を決意。術後に待っていたのは、感謝ではなく患者の険悪な表情だった。「『腕が無くなり、これからどう生きていけばいいのか』と怒鳴られた。今でもあの顔は覚えている」。自分と患者の考えの差に悩んだ結果、疾患の根治だけでなく、患者それぞれの立場を考える医療を心がけるように。その考えは「患者の声を聞くところから」という自身の治療方針に息づく。
○…これから目指すのは地域中心の医療。今後さらに進む少子高齢化に向け、地域の福祉施設らと協力した訪問看護や、近隣の学校と連携することによる教育活動も視野に入れているという。「病院だけでなく、地域一体で医療の場を作りたい」という理想への道のりは、まだ始まったばかりだ。
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