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済生会横浜市東部病院 地域の医療・福祉を築く 最先端治療など、「完結型」へ
「患者さんのためにできることをやる」と語る三角院長
済生会横浜市東部病院（三角隆彦院長）＝下末吉＝は、横浜市東部の地域中核病院として２００７年３月に開院した。開院以来、理念の一つに「地域社会に貢献する医療」を掲げ、24の診療科を持つ総合病院という役割を地元に根ざした形で続けている。
当初は大規模病院ができることで、地域の医療体系が崩れるといった懸念もあったという。だが、鶴見の医療機関などの協力もあり、役割分担をすることで発展に寄与してきた。
今年で７年目。「まだ発展途上だが、地域全体で協力し、『地元の医療を良くしていこう』という機運が高まっていると感じる」。三角院長は言う。
常に一歩先へ
同院は、最先端医療を可能とする医療設備や機器の導入にも力を入れている。 こうした最先端機器の導入には、地元の病院でより専門的かつ高度な医療が受けられることで、東京や横浜の中心に行くことのない「地域完結型の医療」を可能とするメリットがある。
「常に一歩先の医療」を目ざす同院では、一昨年に放射線治療機器、昨年には市内初となる手術支援ロボットなどを導入。それらを生かす形で、昨年11月、「低侵襲前立腺治療センター」を設置した。
低侵襲前立腺治療センター
国内では男性のがんとして３番目に罹患率が高く、高齢化の影響で患者数が増加傾向にあるという前立腺がん。２０２０年には胃がんを抜き、２番目に多くなるという予測もある。
「低侵襲前立腺治療センター」は、がんや肥大症など前立腺に特化。最新機器などを使い、手術時に体への負担が少ない低侵襲治療を行う。治療法は、通常の開腹手術や内視鏡などの外科的治療に加え、放射線治療機器、手術支援ロボット、放射性ヨウ素の入ったカプセルを挿入する密封小線源治療など、いくつかの選択肢を設けている。
担当医によると、選択肢が多いことで、個人差のある病状や体の状態に合わせ、最適な治療法を提供できるという。同院は「がんの切除など患者さんの希望も考慮しながら、包括的なケアができるように体制を整えた」と話す。
大動脈治療センター
同院では患者に最善の治療法を提供する取り組みも活発だ。疾患別センター制の採用もその一つで、専門性の高さは「地域完結型」にもつながる。中でも「大動脈治療センター」は診療科の枠を超えた専門チームが治療にあたる。
昨年９月に開設されたこのセンターは、近年の生活習慣病による動脈硬化などで患者数が増えている大動脈疾患に対し、より高度な医療を提供しようと実現。大動脈疾患は、体のどの部分にも発生する可能性があることから、心臓などの胸部を専門とする心臓血管外科、腹部専門の血管外科が診療科を超え協力。放射線科と救急科も加わり、４科で専門チームを組む。
同センターは「大動脈疾患の症例は多様化し、治療方法も増えている。互いの得意分野を生かし連携することで、多角的な診療が可能になる」と意義を語る。
区内病院と連携も
東部病院と区内の病院は、市が救急困難患者、いわゆる「たらい回し」の解消に向け立ち上げた救急搬送受入病院連携支援モデル事業に率先して参加した。
事業は東部病院を救急搬送受入病院として、数日入院の後、連携する区内の病院へ転送する仕組み。これにより、もともと急性期医療を主とする同院の役割が果たされやすくなり、治療後も区内で安心して医療を受けることができる。
しかし、東部病院や連携する医療施設などの病床利用率は高く、転院先の病床確保という課題もある。同院は「限られた中で連携しているが、そこから先は行政とも協力して解決していきたい」とする。
「予防」を意識した市民向け講座や人材育成などへも取り組む同院。三角院長は「簡単にはいかないが、地域の医療・福祉の全体像を築いていくことが役割だと認識している」と、地域医療の中核を担う意欲を示している。
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