東日本大震災の発生から2年が過ぎ、被災地で活動するボランティアは減少傾向にある。
そんな中、宮城県気仙沼市で、小学校の児童に学習支援を継続する大学生たちがいる。学生たちは東日本大震災学生ボランティアの面々で、そのほとんどが鶴見大学・鶴見大学短期大学部の学生だ。
震災後すぐに立ち上がった同ボランティアには、鶴見大のほか、大妻女子大、帝京大、横浜創英大なども参加。11年の夏から本格始動し、春・夏・冬の長期連休で訪問。今春で6回目を数え、派遣した延べ人数は1千人を超えた。
震災翌日に設立
ボランティアは、震災翌日から「何かできることがあれば」と、鶴見大歯学部の有志数人によって設立。当初、現地での活動は、原発事故の関係もあり、反対の声も挙がっていたという。
大学側との意見交換の結果、学生当時に阪神・淡路大震災の被災地支援を行っていた同大OBの植草康浩氏の仲介により、気仙沼市で活動しているNGO・シャンティ国際ボランティア会の紹介を受け、学生有志が現地調査に帯同。子どもたちのストレスや学習の遅れの改善、保護者の手助けなどを考慮して学習支援を検討した。
その後、シャンティの紹介で気仙沼市立大谷小学校への訪問が決まり、現在は同市立鹿折小学校を加えた2校で学習支援を展開。支援は「学びーば」と名付けられ、毎回学校の宿題などの手伝いと、様々な企画を用意して子どもたちとのふれあいを行っている。活動費はすべて募金で賄う。
役に立つ実感
『次いつ来るの』『ウチでご飯食べていけばいいのに』――子どもたちは、学生たちの帰り際にそんな言葉を投げかけるという。
「名前と顔を覚えられて懐かれたら、ほっとけない気持ちになる」と話すのは、4代目のボランティア代表を務める鶴見大学の石川達哉さん。最近では、現地の街中でも『学びーば知っているよ』と声をかけられるようになり、「やればやるほど役に立っているという実感がわく」と石川さんは継続の理由を語る。
集まる限り続ける
被災児童と接するにあたり、シャンティのメンバーから『カウンセラーまがいのことはするな。やるからには真剣に』と言われた。子どもたちの中には、近しい人を亡くした者もいる。何かの拍子に震災の光景が甦ってしまう可能性があるからだ。
だが、子どもたちは「とにかく元気で明るい」という。「行くと向こうからじゃれてくるほど」と石川さんは笑う。それでも学校の周囲や街中を見回すと、被災地の光景が広がる。「景色は野原のまま、ずっと変わらない。復興は進んでない」と学生らは感じる。
快諾してくれた小学校側からは、校庭の仮設住宅がなくなるまで継続を依頼されているという。石川さんは「仮設住宅は5年でなくなると言われているが、現地を見ていると、もっとかかるのではないかと思う。今後も人が集まる限り続けていく」と決意を表す。
次回は約1カ月の長丁場となる夏休み。子どもたちを楽しませる企画の検討はすでに始まっている。
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