「少しでも子どもたちの思いが広がれば」。編集室のメールフォーム宛に、そんな投稿が届いたのは3月上旬のこと。市場小学校4年7組の担任・山本唯教諭からだった。昨年度、新型コロナの影響で休校や多くの制限のなかで一年を過ごした子どもたち。映画作りに取り組んだ同クラスも同じで、当初望んだ地域の人や保護者を招いての上映会は、緊急事態宣言の延長などもあって叶わなかった。「子どもたちの頑張りを知ってほしい」。そんな思いを受け、現場を取材した。
映画作りは総合的な学習の時間で行った。総合は、主に子どもたちが自分たちの力で取り組む単元。年度当初から一斉休校となったため、スタートは7月からだった。
取り組む内容を話し合う中で決まった映画づくり。「大変なことになった」。ハードルの高さに、山本教諭は心配しかなかったと振り返る。
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けん玉を極める、まちのPRなど、テーマだけでゴールが見えるものと違い、ゼロから作るには難易度が高い映画作り。児童らは7月から4カ月間話し合い、ストーリーを考えた。セリフも必要だと気付いたのは、ようやくストーリーがまとまった後だったという。
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理科室の掃除中、扉を開けると10年後にタイムスリップした児童たち。戻るために、5人の神を探し出し、エネルギーを集めなければならない――というストーリー。未来を描こうと決めた。
11月から始まった撮影には、クラス用のiPadを使用。校長の許可を得て、尻手公園でも撮影した。小道具もすべて手作りし、進行管理、編集まで、子どもたちだけで担当。見せ方も工夫し、撮り直しも重ねた。
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「気が抜けてしまったときもあった」。児童の一人は振り返る。37人が同じ方向を見る難しさ。そのたびに意見をぶつけ合い、団結しながら進んできた。
全員が出演せず、それぞれが役割をもって取り組んできた映画製作。「一人でも欠けていたら出来なかった」。進行管理などまとめ役を担った児童は胸を張る。
完成したのは3月に入ってから。「空いた時間は全部総合に充ててもらった。山本先生だから出来た」。
達成感、やり遂げる力、児童の感想にはそんな言葉が並ぶ。一回り、二回り成長した子どもたち。「驚かされ、感動した」と山本教諭。結果だけでなく、プロセスも含め、この経験が生かされることを信じている。
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つるぎん27日に4月25日 |
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