義援金や物資など、震災以降、様々な支援が被災地に送られている。日本赤十字鶴見区地区によれば、2月17日現在、寄せられた義援金は、1281万9938円に上る。だが、昨年5月をピークに件数は減少。今年1月に1件以降、寄付はないという。そんな中でも区内ではまだ、地道で気持ちのこもった支援活動を続けている人たちがいる。
「金銭的にではなく、何か形に残るものをと思った。とにかくできることをしたかった」
東寺尾北台在住の土田あき子さんは、趣味で習っている手芸を活かし、手縫いの地蔵を被災した寺院に送る活動を続けている。
土田さんが地蔵作りを始めたのは、震災約1ヵ月後。避難所として地元の人が身を寄せる被災寺院の話を新聞で読み、「お地蔵様なら心のよりどころになると思って」というのがきっかけだ。インターネットで連絡先を調べ、すぐに依頼の電話をかけた。発送を始めたのは5月のことだった。
絹織物で制作
一体ずつ丹精こめて縫い上げる手のひら大の小さな地蔵は、風合いの良い絹織物の古布で作る。
「再利用で友人にもらったり、切れ端を買ったり」。素材が限られるので、すぐにたくさんは作れない。中には、『母の形見だけど役立つなら』と寄付してくれた人もいた。
4寺院に80体
これまでに送ったのは、4寺院に20体ずつ。それぞれから手紙が届き、宮城県石巻市の洞源院からは、「優しい顔だちの温もりある地蔵。久しぶりに心安らぐ思い」と感謝の言葉が綴ってあった。
「今まではお寺に集まっている人たち用だった。落ち着いたから住職やその家族にも」と、小さな巾着袋も作った。
「被災地との縁は全くなかった」と土田さん。作る思いが伝わればいい――手に持つ数珠は、細かなビーズを繋いだもの。糸で表現した温和な顔は、復興を願う気持ちからか、気づくと少し上を向いていた。
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