横浜市が導入した消防団員の定年制が開始され、3月末、導入後初めてとなる定年退団者が出る。70歳を定年とするこの制度により、区内では、永井良和団長を含む24人が、その役目を終える。
「49年と9ヵ月。届出受理のミスがあったから、2年ほど損してるんだけど」。実質50年以上、街の火消しとして活動してきた永井団長は、そう言って笑う。
入団したのは20歳のとき。火事になった鉄工所の近所に住む友人宅から、家財道具などを運ぶ姿を見た先輩団員からの勧誘がきっかけだった。
風呂を薪で炊く時代。「季節に関係なく、1日1回は火事があった」と振り返る。そんな時代、入団を決めたのには「(営む)魚屋のお得意さんへのサービスでもあった。火事のときに助けるっていうね」。
変わらぬ気持ち
その昔、消防団は、暴れ川と呼ばれた鶴見川の水防団も兼ねていた。記憶に残るのは、12時間燃え続けた小野町の大火、石油タンクが燃えた工場火災、台風での土のう積みだ。
「火事に風水害、何かあったら飛び込む。人命救助が第一」。消防団の意義を説明する。家屋などの防災建築が進み、各区に公設消防が整備された今、当時よりも火災発生件数は減少したが、その気持ちは変わらない。
昨年の震災当日、各分団が、それぞれの担当地区で帰宅困難者の誘導や交通整理などに奔走した。「区民に鶴見駅前でバスの誘導していたことを褒められた。いざという時はできる」と、同じ気持ちを持つ団員たちを称える。
後進に期待
もっと続けたいかとの問いに、「後進に譲るよ」と微笑む。
団長の任期4年の間、鶴見消防団は、市の消防操法大会で優勝2度、準優勝1度という成績を残した。団員減少という現実もあるが、「今の若い人は素晴らしい。どんどんやってくれる。女性団員も増えた。もっと活発になってくれれば嬉しい」と今後に期待する。
鶴見を守ってきた24人の消防団員たち。火事場のヒーロー役を次代に託す。
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