市場西中町小林さん 亡き妻の名を地元に 一里塚修復に寄付
市場西中町在住の小林健治さん(81)が、亡くなった妻・和子さんの名を地元に残したいと、同町にある横浜市登録文化財「市場一里塚」の塚を支える擁壁修復費用をこのほど寄付した。小林さんは11月22日、起工式に出席し、夫婦の地元への思いが形になるうれしさをかみしめていた。
小林さんは栃木県出身。就職を機に鶴見に移り、市場西中町に住んでいた和子さんと出会った。その後結婚し現在まで同町で暮らしている。和子さんは、昨年80歳で他界。「妻は生まれも育ちも市場西中町。市場を愛した人間だった」と小林さんは振り返る。
和子さんが亡くなった後、小林さんは市場を愛した妻のため「地元に何かを残したい」と決意。市場一里塚の擁壁工事の話を聞きつけ、工事費全額の寄付を名乗り出た。
擁壁の修復は約60年ぶり。一里塚を管理している市場西中町自治会の森田洋司会長は、「修復の話は以前からあったが、費用を確保するのが難しかった」と明かす。
修復は年内に完了予定。擁壁には、小林さん夫婦の名前が刻まれる。「私自身も地域の人に世話になり、この町が故郷だと思っている。本当にうれしい」と小林さんは話していた。
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一里塚とは、江戸時代の旅人のため街道の一里(約4キロ)ごとに築かれた、道中の目安。市場は、1604年、日本橋から延びる東海道を整備する際に街道の両側に造られた。1877年の地租改正で払い下げられた以降は、現在ある片方の塚を残すのみとなった。
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