中原区 社会
公開日:2022.10.07
区内在住方山さん
駅の音、動画で可視化
ろうあ者へ情報をデザイン
耳の聞こえない、聞こえづらい人に駅構内の音や案内を視覚的にわかりやすくする装置「エキマトペ」。ホームに流れるアナウンスや電車の発着音などの情報を動きのある文字で表現する。富士通(株)がシステムを開発し、昨年9月のJR巣鴨駅に続き、今年の6月から12月までは上野駅で実証実験を行っている。
このエキマトペの動画のデザインを担当したのが(株)方角(新丸子東)の代表でデザイナーの方山れいこさん(30)=人物風土記で紹介。電車がホームに入ってくる「ヒュウウウ」や、ドアが閉まる「ピンポン、ピンポン」などの音をAIで識別し、文字やオノマトペとしてディスプレー上に表示するために手書きでアニメーション化した。方山さんは「文字で音の動きを感じてもらうところが苦労した点。表現としては漫画の擬音語に近いが、角度を付けたりして自分なりの感覚でデザインした」と話す。上野駅向けには山手線の緑色を使ったり、パンダのキャラクターを登場させて、見た人が楽しんでもらうことを一番に考えた。実証実験に立ち会った際にはろう学校の生徒らが「電車の音を初めて知った」と喜んでいる様子を見て、涙が出るほど感動したという。
多様性への理解
実証実験は、聴覚に障害を持つ人にも健常者と同じように感じてもらうことで多様性への理解につなげることが目的。富士通(株)やJR東日本などが2021年7月に川崎市立聾学校で開催したワークショップをきっかけに、エキマトペの開発プロジェクトがスタートした背景がある。
方山さんは「多くの人に注目してもらい、障害がある人へ関心につながるきっかけになれば」と期待する。
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