中原区のグランドステーションらいふ武蔵新城などの高齢者施設を運営する(株)らいふでエリアマネージャーとして働く宮前区在住の城所佑佳里さん(37)。19歳で出産し、ママ友サークルで出会った友人がいた。友人も18歳で出産し、年齢も近かったことから、すぐに仲良くなった。「若くして出産や育児に奔走した2人だからこそ、分かり合える部分がたくさんあった」と当時を振り返る。その後も交流は続き「一番仲良くしている友人」と城所さん。
今年5月下旬、「久しぶりに飲みに行こう」と城所さんが誘うと「体調が悪くて飲むのは難しい」と返答があったため、一緒に食事をすることに。久しぶりの再会はさまざまな話で盛り上がった。そんななかで「実はさ、私、乳がんなんだよね」と突然打ち明けられた。3日後から抗がん剤治療が始まるのだという。城所さんは、言葉が見つからず、何も言えなかった。帰宅しても友人の話が耳から離れず。メールで励ましの言葉を送ろうと思ったが、書いては消してを繰り返した。友人が一番気にしていたのは治療で髪の毛が抜けることだった。
「言葉じゃなくて行動で示そう」と思い、翌朝、美容室を訪れた。「坊主頭にしてください」。そう美容師に告げた。翌日夜、大雨の降る中で、車で友人宅を訪れた。「話したいことがあるから外に出てきて」。城所さんはパーカーのフードを被っており、坊主頭になったことに友人は最初気が付かなかった。「急にどうしたの」。「この前は、何も言えなくてごめん」と泣きながら友人に謝った。「私なりに、行動で示した」とパーカーのフードを脱ぎ、坊主頭を見せた。「冗談でしょ」と友人は笑いながら、ぼろぼろと泣いた。「先に坊主頭になったから、毛が抜けることを恐れないで、明日からの抗がん剤治療、頑張って」。友人は副作用と戦いつつも回復していった。1カ月後、2人で坊主頭を見せあい、大きく笑った。
城所さんはウイッグをファッションとして楽しんでいる。坊主頭で出掛けると、露骨に笑われたこともある。「私は気にしないけど、病気で仕方なく坊主頭になった人もいる。笑ったり、偏見の目で見ない、そんな社会になってほしい」と思いを込める。
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文化芸術情報を一冊に12月1日 |
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