鎌倉版 掲載号:2018年11月16日号
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鎌倉のとっておき 〈第49回〉 中世鎌倉”お風呂”事情

北条泰時の眠る墓所、常楽寺の山門
北条泰時の眠る墓所、常楽寺の山門

 一日の疲れを癒(いや)し、日々の健康づくりにも欠かせない入浴。

 効用も色々あるが、その起源は6世紀の仏教伝来時にさかのぼる。

 仏教では入浴は「七病を除き七福が得られる健康に良いもの」と説かれ、入浴で身体を洗い清めることは大切な「業」の一つとされていた。そのため、当時の寺院には湯屋などの浴堂も備えられていたと聞く。

 中世鎌倉の入浴は、浴槽のお湯に浸かる今の温湯浴(江戸時代後期頃から主流)とは異なり、蒸気浴(現在でいうサウナ)が中心。入浴方法は、蒸気の満ちた湯屋内で浴衣を着て汗や汚れを浮き出させた後、お湯で身体を流して手拭いで拭く、といったものだった。ちなみに、入浴中、腰の下に敷いた布が「風呂敷」の語源となっている。

 こうした入浴形態は、主に位の高い武士や貴族のもので、庶民は行水やお湯で身体を拭く程度であったという。

 かたや幕府の歴史書『吾妻鏡』には、源頼朝が後白河法皇の追福供養に鎌倉山内の浴堂で100日間の施浴(広く庶民に入浴を施す)を行ったことや、3代執権北条泰時が北条政子の供養に長期間の施浴を行ったことも記され、為政者の庶民への心遣いもうかがえる。

 時を同じく、『日蓮御書録』には「湯銭」の文字も登場していることから、銭湯の起源もこの時期だろうと言われている。

 稲村ヶ崎の天然温泉や昭和が薫るレトロな銭湯も残る古都鎌倉。湯気を通した人々とのふれあいも楽しい、身も心も温まる街である。  石塚裕之

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