県大会優勝の鎌倉学園高校アメリカンフットボール部の監督を務める 小林 哲朗さん 横浜市在住 32歳
自分たちで作り出す
○…神奈川県春季大会の準決勝で、鎌学アメフト部は全国優勝6回の実績を持つ法政二高と対戦。試合3日前の夜、腹部に激痛が走り病院へ駆け込むと、盲腸と診断された。「事実上の決勝戦」として挑む大事な一戦は、病室で過ごすことに。試合当日の朝、竹山正剛キャプテンが見舞いに訪れ、「やってきたことを信じなさい」と伝えると、「今日は負ける気がしません」と返ってきた。その言葉通りチームは勝利し、「死力を尽くして頑張ってくれた」と部員たちを労った。
○…鎌学高出身。中学まで野球をしていたが、違うことに挑戦したいと、アメフトを始めた。当時は専門の指導者が不在で、練習や試合戦略を組み立てるのは自分たち。「大変な分、やりがいと楽しさがあった」と振り返る。卒業後は、中央大と実業団で競技を続け、技術を磨く。戦略や状況判断が大事なアメフトで、鍵を握るのは「主体性」。日ごろ部員たちに伝え続けたことが、監督不在の準決勝で形になった。
○…中学教師の母親の影響で、社会科の教員免許を取得。1年間の非常勤講師を経て、翌年に神奈川県と母校の採用試験に合格した。「母校の教員は誰でもできることではない」と決意し、アメフト部の顧問にも就任。私生活では3年前に結婚し、今では1児の父。息子は乗り物好きで、「出かける時は駅まで引っ張られますよ」と微笑む。
○…鎌学の監督を務めて8年目。就任当時は「負けてもしょうがない」という雰囲気が漂い、勝ち方を知らなかった部員たち。技術と主体性のテコ入れで結果が出始め、「支えてくれた方、悔しい思いをしてきたOBの思いが一つになったかな」。創部58年目での初優勝をかみしめながら、先を見据える。
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