鎌倉のとっておき〈第6回〉 大船観音七変化
大船のランドマーク大船観音は町のいたる所から眺めることができます。
視線の先、台のあたりでは、お顔を正面から見ることになりちょっとドキッとします。北へまわり高野からは少し斜めを向き、さらに高台へ上るとうつむき加減で山の緑に入り込み、それはすばらしい景色になります。駅前の歩道橋を歩くと、お顔をぐるりと拝見できます。観音寺の丘に登り、さらに石段を上る際、その向こうに現れるビッグサイズのお顔には強烈な存在感があります。正面の広場からは意外にふくよかで、近づいて左肩下から見上げると妖艶な微笑に思わず息をのみます。
見る方向により観音様の表情は様々です。自分のベストスポットを探してみるのも楽しいものと思います。私は駅前から見上げるお姿が好きです。真白なお姿に青く澄んだ空が良く似合います。いつまで見ていても飽きることはありません。
製作者は、頭上の化仏や白毫相といった仏像のスタイルを取り入れつつ心に描き求めたものを形にしていったのだろうと思います。仰ぎ見る位置も意識したことでしょう。
観音様は、モルタルで形作られ、保護層となる塗膜で覆われています。それでも、胸の一部では、塗膜が切れてモルタルにひび割れが生じ始めているようです。なんとか保守を続けて、いつまでも綺麗なお姿を保ち続けていただきたいものです。
(石井卓郎)
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