障がい持つ青年、魂の切り絵 海老名市民ギャラリーで11日(月)まで
2歳の時、紫斑症と診断され、40度近い高熱の中、10日間にわたり生死の淵をさまよった後、意識を回復するも、高度難聴、知的障がい、自閉症の三重障がいを抱えた椎野勝さん(41歳・藤沢市)が15年の歳月をかけ創作し続けた「切り絵」65作品を展示する「椎野勝切り絵の世界親子二人展」が、海老名市民ギャラリーで11日(月)まで開かれている。
「誰にでも可能性はある」――父・幸一さん
平塚ろう学校高等部に通った勝さんが「ゆとりの時間」に取り組んだ切り絵を手に帰宅した25年前のある日、父・幸一さんと母・アサ子さんは三重の障がいを抱え生きる息子に無限の可能性を感じた。「この子には人並みはずれた集中力と手先の器用さがある。この可能性を出来うる限り伸ばしてやりたい」。
幸一さんは先生探しに奔走。障がいを抱えることを理由に断られることもあったという。現在も指導を受ける切り絵作家・辰巳雅章さんに辿りついた時には10年が経過していた。
平成8年から本格的な創作活動に取り組み、カッターを巧みに扱い仕上げた第一作「初冬の景」は夕日に映えるけやきの枝ぶりを繊細に表現した。
以来、創作活動に没頭する生活が始まり、11年ごろまでは自邸の庭から望む景色をモチーフにした作品を数多く手掛けた。12年に入ると幸一さんは「新たな世界を見させよう」と勝さんとともに旅にでるようになった。この頃から作品のモチーフは旅先の風景が増え始める、富良野、立山、京都…。
また、13年からは幾何学模様をモチーフにした「万華鏡シリーズ」を発表。現在はこれまでの作風を融合するような作品を数多く手掛けている。
切り絵は薄い紙に鉛筆で下絵を描き、黒い和紙を重ね輪郭に沿いながらカッターで切り抜く作業を繰り返す。繊細な表情を持つ作品を手掛ける勝さんは1度に3時間程度の創作作業を続け、1つの作品を3カ月程度で仕上げる。
本格的に創作活動を始め15年、これまでに「魂を込めるように」仕上げた作品は65枚。今回の作品展ではこの全てに加え、原点となっている「高等部時代」の作品も展示されている。さらに、幸一さんの作品も並んでいる。
「人は誰でも可能性を持っているんです。多くの方々に勝の作品をご覧いただき、ご覧いただいた方、それぞれが、いろいろな可能性を見つめ直していただく機会になればうれしい」。幸一さんはそう話している。作品展は7月11日(月)まで。
読者プレゼント作品集とポストカードセット
勝さんがこれまでに手掛けた作品65点を収めた作品集とポストカードセットを本紙読者それぞれ2人にプレゼント。
申込みは官製はがきに作品集かポストカードセット、どちらを希望するかを明記し、〒242―0004大和市鶴間1―21―8沖津ビル2階タウンニュース海老名編集室「切り絵」係まで郵送。7月15日消印有効。また、ファックス(046・265・2555)Eメール(ebina@townnews.co.
jp)からの申込みも可能。当選は発送をもってかえさせていただきます。問合せは海老名編集室【電話】046(262)2611まで。
|
|
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>