70年の棟梁経験と旧建築の魅力を港北図書館で講演する 武田信治(のぶはる)さん 大豆戸在住 85歳
建築技法の伝統 後世へ
○…今では使われなくなった鋸(のこぎり)や鉋(かんな)の実物や、時代から消えつつある昔ながらの建築技法について6月28日、港北図書館で講和する。「喋りは苦手なので不安はあるが、当時の職人たちの技術の高さ、仕事に接する心構えを、大工の棟梁としてしっかりと後世に伝えていきたい」と柔らかな表情で語る。
○…昭和30年代頃までの住宅は、現在主流となったメーカー中心の似通った製法で作られたものとは違う、独特の「味」があったという。「昔は木造建築が主流。使う材木によって完成形が大きく変わったんだ」。施主と相談をし、理想とする家作りをすることに生き甲斐を感じていた。素材選び一つとっても職人の経験と勘が求められた。現在の進歩した地盤調査技術などは重要との認識を示しつつ、「我々の技法は現代にも生かすことができる。廃れてほしくない」と願う。15年間、横浜建築高等職業訓練校で教鞭をふるった経験も持ち、最近は近隣の小学校で木工教室を開き、その魅力を伝えている。
○…大豆戸町で生まれ育った。旧制8年制の小学校卒業後、家業の大工職の手伝いを始める。父親は頑固一徹な性格。多くを語らず、見て学ぶしかなかった。亡父の「背中で語る」姿勢には多大な影響を受け、青春を忘れるほど仕事に打ち込んだ。今は妻、娘二人と穏やかに暮らしている。趣味は旅行。旅先で趣のある建築物を探すことが楽しみ。気に入った建築物があると何回も訪れてしまう。「家ばっかり見ていると妻に怒られちゃうんだ」と目じりを下げる。
○…今でも小さなお宮を作るなど、大工仕事に触れる機会はあるが、その工程は当時のやり方。「機会があれば、若い人たちに昔の技法を伝えていきたい」。他区からの講演依頼も来ているという。自らを「年寄だから」と笑いながらも、今後の日本建築に期待を寄せる目には今なお力強さが宿っている。
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