港北区版 掲載号:2018年11月29日号
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小熊秀雄「長長秋夜」の講演会を菊名で行う詩人 佐川 亜紀さん 富士塚在住 64歳

「詩」という架け橋

 ○…詩人として社会に潜む暗闇を代弁したい。そんな思いから研究し続けてきたのが、社会問題をモチーフにする小熊秀雄の作品や韓国文学。今回の講演会では、植民地だった朝鮮半島からの嘆声をうたう小熊秀雄の詩集で、自身も出版に携わった「長長秋夜」について語る。

 ○…新聞社でアルバイトをしていた大学生時、在日の韓国人から韓国社会の惨状やそれらをうたった文学を教えられる機会が多くあり、韓国詩に関心を持った。アジア諸国で学生運動が勃発していた時代。「日本人だってもっと社会問題に目を向けないといけないのでは?」と感じ始めたきっかけだった。教職を経て結婚・出産を経験した頃、自身初の作品が月刊誌「詩学」の投稿欄に。その後、編集職の傍ら韓国文学を研究し、詩の制作にも勤しんだ。息子の戦死を憂い続ける自身の祖母を描いた初の詩集は、小熊秀雄賞などを受賞。「人々の苦しみを詩で訴えることが大切なんじゃないかな」

 ○…幼少期は家に飾られた絵画に親しみ、中高は美術部に。アートになじみがあったからか、言葉から情景を自然とイメージできるような日本現代詩の「絵画性」を大切にする。創作時は直感的に浮かんだ言葉を膨らませ、詩を紡ぐのだという。「伝えたいことがあってもストレートすぎちゃいけないの」。だからこそ生みの苦しみは深い。

 ○…「社会的視点を入れつつ、より深く人間的な詩を書いていたい」。そう話すのは、日本と韓国の関係を豊かにしたいから。どちらにも平等な目線で俯瞰するからこその願いである。「互いの共通点と異文化両方を知って、享受し合えるようになればいいな」。社会の見えない部分を発信すること、国と国を結ぶこと。詩という架け橋であらゆるものを繋いでいくだろう。

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