県政報告193 課題と向き合い、新時代へ 県議会議員 はかりや珠江(たまえ)
「平成」から新しい時代へと変わる大きな節目の年、2019年の幕が開けました。
植物の生長を表していると言われる十二支の一番最後、「亥年」はエネルギーを蓄える「種」の状態を示しているそうです。発芽に向け、しっかり準備をするという意味もあるのかもしれません。
2019年が、皆様にとって、実り多き一年になりますようお祈り申し上げます。
*変化のうねりの中で
「平成」の30年間を振り返ると、バブル崩壊、少子高齢化の進展、情報通信技術の飛躍的な進歩、国際化など、社会や産業に衝撃をもたらす大きな変化の波にもまれ続けた印象があります。日本各地で発生した災害も忘れることができません。
ロボットや自動運転の自動車などが、日常生活に当たり前のように使われる日もそう遠くはないでしょう。
ともすると科学技術の進歩・発展、効率や便利さにばかり目が向いてしまいますが、「平成」の時代が残した社会のひずみや解決できなかった宿題に、きちんと向き合っていかなければなりません。
*課題先進県かながわ
先進国共通の課題の一つに「超高齢社会の到来」があります。
1970年には高齢世代を多くの若い世代が支える「ピラミッド型」だった県の人口構造は、急速な少子高齢化により「つりがね型」に変わり、2050年には高齢化率36・4%、「逆ピラミッド型」になると推計されています。全国一、二位を争うスピードで高齢化が進んでいる神奈川が「超高齢社会の到来」にどのように取組み、成功モデルを作ることができるのか、課題に先進的に取組む「神奈川のチャレンジ」が注目されています。
*ヘルスケア ニューフロンティア
「未病の改善」と「最先端医療・最新技術の追求」の二つを柱とするこの政策は、「超高齢化社会」を乗りきる方策として県が取り組んでいるものです。健康は県民一人ひとりにとって大切なものですが、同時に「削減できた医療関係費を他の重要な事業に活用できる」という社会的メリットもあります。
「食事」「運動」「社会参加」の3つを柱にした「未病の改善」は、効果が見えにくいのが課題。「食事の塩分を減らす」等の具体的な取組みを徹底し、短期間で患者数を減らし、医療費の大幅削減を実現した県もあります。私は、「糖尿病」や「慢性腎臓病=CKD」など生活習慣病の重症化予防や、がん検診の受診率向上等の拡充が必要であると考え、その推進に力を注いでいきたいと思います。
*中小企業等を応援
高齢化の進展は産業にも影響を及ぼします。人口減少で生産力が低下し、雇用や収入が縮小します。
県のアンケートでは、回答した県内中小企業・小規模企業の経営者の約3割が「自分の代で会社は終わり」とし、放置すれば事業所数が激減してしまう可能性があります。
そこで「事業承継」の相談や「企業の未病診断」を実施し、経営課題にいち早く気づきスピーディーに手を打てるよう、サポートする取組みを実施することになりました。相談員のスキルアップや、専門的な相談に応じる「神奈川県産業振興センター」の相談窓口の拡充等、県内経済の担い手である中小・小規模企業の方々を支援する仕組みの充実に努めます。
*人口減少に歯止めを
県の合計特殊出生率は、1・34(2017年)で全国平均を下回っています。未婚化、晩婚化に加え、都市部では保育所不足など子育て環境の整備が課題。幼児教育の無償化も始まりますが、教育費軽減や、家庭の経済力に左右されず進路を選択できること等、子どもを社会全体で育てる仕組みを整えることが大事ではないでしょうか。
困難や生きづらさを抱える子どもたちの増加は、子育てや生活に苦しむ親の増加でもあります。子育て家庭の不安を取り除くことも少子化抑止に必要な手立てだと思います。
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去年今年(こぞことし)
命一つに何賭けし
鈴木真砂女(まさじょ)
「何に命をかけるのか」と、強く自分に問いかけているこの句は、背筋をシャンとさせてくれます。
初心を忘れず、今年も皆様のお声に耳を傾け、地道に努力を重ねて参ります。
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