設立10周年を迎える(公財)日吉の森文化財団の理事長を務める 田邊 美紗代さん 下田町在住 74歳
”上品な野生児”に
○…日吉の一角に広がる緑地。田邊家が同地に移って400年以上になるという。貴重な植物や150年前の姿を今なお残す家屋敷などの文化財を守ろうと、2010年に財団を設立。現在は、庭園・記念館・美術館からなる日吉の森に「街中で、自然豊かでこんな素敵な場所はない。緑を守ることができて嬉しい」と笑顔を浮かべる。
○…”農”をテーマに、彫刻家の夫・光彰さんが制作した作品を飾る美術館の館長として、来館者へのガイドも行う。「せっかく足を運んでもらったからには、何か気づきを提供できるように」と勉強の日々が続くが、「むしろ私の方が教わることも多い。色んな人との関わりが、やりがいのひとつ」と微笑む。また、川の埋め立て跡地を遊歩道にしようと1991年に発足した松の川遊歩道の会会長も務め、子どもの稲作体験等も企画する。精力的な活動の原動力は「豊かな自然には発見と感動がある。若い世代へもそれを残していきたい」との思い。
○…小学生時代は、神社の境内で陣トリ合戦に明け暮れるような元気な”野生児”。欲しいものをねだったりすることもほとんどなかったというが、「唯一、成人式の時だけ花模様の振袖にしたいと頼んだ」と乙女らしい一面も。音楽も好きで、琴は中学生時代から最近まで、今はコーラスサークルで活動する。「外に出て人と会って何かをするのはいい刺激になる。何事も好奇心を持つことが大切」
○…「無理せず自然に」がモットー。「できることは一生懸命に。結果は別として、自分がやり切ったと思えるかどうか」が重要と話す。「自然にやりたいことをしても、品がないとダメ。目標は”上品な野生児”」とほころんだ顔には少女の面影が垣間見えた。
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