3月26日付で南警察署の第80代署長に就任した 田中 武志さん 大岡在住 58歳
警察官の使命 最後まで
○…約270人をまとめるリーダーとして、11年ぶりに南署に帰ってきた。久しぶりに見る街並みに「地域のことを一から勉強しないと」と真面目さが光る。「あいさつ回りの時、自分のことを覚えていてくれた方ばかりで驚いた。区のキャッチフレーズ『南の風はあったかい』の通り、本当にあったかいまち」と笑顔がこぼれる。
○…「人の役に立つ職業ってなんだろう」と考え、自然と思い浮かんだのが警察官。高校卒業後の1980年に神奈川県警に入庁した。川崎市内の交番に2年間勤めた後は機動隊に。長野五輪などのイベントで訪れた海外からの来賓、首相や皇室関係の要人警護にも就いた。護衛失敗は外交関係悪化につながりかねない。プレッシャーに押し潰されそうになった局面は何度もあったという。「絶対に失敗が許されない仕事は厳しかったけど、『何があってもこの人を守る』という警察官の使命を肌で感じた」
○…前職務は県警本部留置管理課課長。気性が激しい容疑者の見張りは神経が張り詰めるもので「機動隊での経験が生きたかな」とぽつり。脱走や自殺など、あらゆる危険性が考えられる中、新型コロナウイルスの流行も重なり、「特に2月、3月は心臓がばくばくした」と振り返る。「法を犯した人にも人権はある」。その配慮も難しかったとも。
○…昔から体を動かすことが好きでジョギングや筋トレが趣味と話すも、「コロナの影響で通っているジムが閉まっているので最近は全然やってない。言い訳だけど」と笑う。「事件解決には区役所や消防署、自治会町内会など、地域との連携が大事」ときっぱり。定年まで約1年半、40年のキャリアと警備畑で培った使命感を胸に、南のまちを守っていく。
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