東日本大震災の被災地である岩手県釜石市で防災普及活動を行う高校生グループが3月4日、弘明寺商店街などであった企画の中で自らの被災体験や災害を伝承していく思いを語った。グループのメンバーからは「発信を続け、バトンをつなげていかねばならない」と災害の教訓を伝える強い意志が示された。
企画は大学生や若者支援団体の有志らによる「釜石『夢団』横浜へトライ!実行委員会」が行ったもの。
交流事業が縁
若者支援を行う公益財団法人「よこはまユース」が2021年に行った事業で釜石市で防災普及活動を行う高校生グループ「夢団」との交流企画があった。慶応大学2年生の小林美月さんは取組を通して夢団の存在を知り、「夢団の活動を全国に発信したい」と考えた。当時はコロナ禍でオンラインのみでの交流だったため、夢団を横浜に招いての交流企画を計画。小林さんら実行委は昨年12月からクラウドファンディングで夢団の交通費などを募り、企画が実現した。
釜石市から夢団のメンバー15人が来横。4日は弘明寺観音そばのGM2ビルでシンポジウムを開き、「震災の伝承」をテーマに夢団のメンバーや団体をサポートする釜石市の団体「三陸ひとつなぎ自然学校」代表の伊藤聡さんらが語った。
発信続ける
夢団の中居林優心さんは「防災は事前に知ることが重要。自分から情報を発信して、話を聞いた人の気持ちを変化させることを広げたい」と語った。久保陽嘩さんは「『命を守る』というが、いざという時に自分だけ逃げるのは難しい」と災害の種類や周囲の状況によって避難方法が異なる難しさを口にした。伊藤さんは「防災について『きっかけがあったら考える』という人が8割だと思う。だから、こうした場を作り続けていくしかない」と継続的な活動の重要性を説いた。小林さんは「伝承が防災につながることを自分こどとして感じることができた」と語った。
商店街でも
夢団は4日に弘明寺商店街内で開かれた横浜総合高校による「横総大感謝祭」にも参加。その中で代表の小笠原桜さんは「津波を逃れるために母と一緒に山の中へ避難し、家を飲み込む黒い波を見た」と幼稚園生だった震災時の体験を語り掛けた。「通りがかりの人も話を聞いてくれた」と笑顔を見せた。
横浜総合高の前校長で大感謝祭を企画した「体験活動サポート開港場」の小市聡さんは夢団の活動を踏まえ「学校と地域が連携して防災の取組を進めたい」としていた。
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