11月16日に「横浜マイスターまつり」を行う技能職者団体の代表を務める 沼能 和男さん 大岡在住 67歳
感謝忘れぬ生涯現役職人
○…市が優れた技能職者に与える「マイスター」の称号。クリーニング師として2005年に認定を受けた。「『ほかのマイスターに迷惑をかけないように』という気持ちだった」と恐縮しながら振り返る。「横浜マイスター会」の副代表を11年から務め、昨年、代表に。住民に技能を披露する年に一度のイベントを前に「当日の天候が気になる。こればっかりは神頼み」と本音を口にする。
○…西区で生まれる。小学3年で大岡に移り、南小学校に通った。クリーニング店を営んでいた父。「手伝いをさせられるのが嫌だったから」と下校するとすぐに外出していたことを苦笑しながら打ち明ける。南中学校を卒業後、南高校へ。1年生のころ、それまで店を手伝っていた母ががんで帰らぬ人になってしまう。「辛かったがたくさんの人に叱咤激励されて立ち直ることができた」。苦しい経験を乗り越え、「父の片腕になって店を継ごうと思った」と決意を固める。
○…卒業後は家業に精を出す。「手がかかってもお客様に喜んでもらう仕事がしたい」という一心で、機械に頼らない手仕上げとしみ抜きにこだわってきた。26歳で結婚。2人の娘が通った南小でのPTA活動を通し、「地域の人と関わることが増えた」と、創立30周年を迎えた際には式典の実行委員を務めた。当時の関係者とは現在も会食をする。「大変だったがみんなが支えてくれた」。人に対する感謝の気持ちはどんなときも忘れない。
○…同業者が集まる組合では専務理事を務めた経験を持つ。各方面から信頼を得るのは笑顔を絶やさない優しい人柄からだろう。趣味はカラオケで「北島三郎や鳥羽一郎をよく歌う」とニッコリ。一緒に暮らす97歳の父は、昨年まで現場で働き続けた。「そのDNAを受け継いでいるから生涯現役でいたい。何事も一生懸命やっていればプレゼントがある」と熱い眼差しでアイロンを握り続ける。
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