〈連載〉さすらいヨコハマ⑬ 「赤い羽根」と互助の精神 大衆文化評論家 指田 文夫
10月1日から全国で「赤い羽根共同募金」運動が始まっている。昨年は、総額約8500億円が共同募金に寄せられ、神奈川県では1世帯当たりの募金額が276円とのこと。
私も区でお手伝いしたが、ご尽力いただいている福祉、地域団体の方々には頭が下がる。毎年、直接寄付金を持参される方々もおり、日本人はまじめだと思う。よく、わが国では寄付やボランティアの文化がないという人がいるが、そうではない。横浜でも1世帯当たり、毎年500円くらいの寄付をしている、ただ意識しないだけなのだ。
江戸時代以前から
1940年に作られたが公開できず、46年に上映された映画に『煉瓦女工』がある。直木賞候補の野沢富美子の小説を基にした鶴見の漁村の話。黒澤明と結婚する矢口陽子、滝沢修らが出演し、貧しい者は互いに助け合おうとの思いが強くある。助け合いの精神は、歴史家・田中圭一の『村からみた日本史』(ちくま新書)によれば、江戸時代にもあり、新田開発などで各地から来た人たちの平等と互恵が起源の一つらしいが、当然、それ以前からわが国にあったものだと私は思う。
(文中敬称略)
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