手芸教室「古布わかばやし」で指導にあたる 若林 美代子さん 六ツ川在住 74歳
「幸せの手芸」伝える
○…16年前、自宅近くにできた六ツ川地域ケアプラザの利用者を楽しませようと手芸講座を始めた。ケアプラザの周知もあって参加者が増えると、数年後には「いるかクラブ」として同プラザに定着。手芸の魅力を人に伝える喜びを実感し始めたころ、新たにスタートしたのが地元住民向けの教室「古布わかばやし」だった。「作品が完成した時の達成感がたまらない」と充実した表情を見せる。
○…滋賀県で生まれ、子どものころは母が傷んだ洋服を慣れた裁縫で補修してくれる姿を見て育った。「母には『針を持っていれば幸せよ』と教わった」と振り返る。陸上短距離種目で汗を流した中学時代、当時の県記録を更新するなど運動能力も高かったが、家庭的な母の影響もあり、高校では授業を終えると手芸教室に通った。18歳で編み物の専門資格を取得。結婚を機に20代前半から南区で暮らすと、機械を器用に使って編み物を仕上げる姿を見た地元住民から子ども服の制作を依頼されることもあった。当時、小学生だった娘は「学校に作った服を着て通い、先生に褒められた話をしてくれた」と微笑む。
○…毎週続けてきたケアプラザでの活動は、「90歳の方も喜んで参加してくださる」と嬉しそうに笑う。手芸教室のほか、南区や中区で出張講座も開いており、参加者は延べ100人を超える。長年、高齢者に憩いの時間を提供してきた活動が認められ、南区福祉功労者として06年に表彰を受けた。「私を取り囲むすべての人に感謝している」と目を輝かせる。
○…毎回の教室で使う材料の準備で布を500枚以上カットすることもしばしば。「夫には『よく飽きないでやっているね』と言われる」と苦笑。忙しい妻を気遣い、教室を終えて帰宅すると夫が食事の準備をしてくれることもある。「寝ても覚めても手芸のことばかり考えている」。母から教わった針が生み出す幸せを伝え続ける。
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