〈連載〉さすらいヨコハマ㉗ 映画の中の横浜【2】 大衆文化評論家 指田 文夫
戦後、いや、昭和最大のスターは美空ひばりだが、現存する彼女の最初期の映画に1949年6月の『びっくり五人男』を再編集した『ラッキー百万円娘』がある。最後に、神奈川公園での日本貿易博覧会の野外コンサートのシーンがある。だが、女性のソロは野上千鶴子という、今はほとんど知られてない女優で、ひばりは、その他大勢の一人(この博覧会のパビリオンの一つは、1959年まで横浜市役所として使われた)。
だが、イベントの半年後、『悲しき口笛』の大ヒットによって、松竹でひばりの初主演映画が作られる。桜木町や大岡川、新港ふ頭などが出てくる、昭和20年代の横浜と港が見られる貴重な映像である。
ここでは、菅井一郎と津島恵子の父娘の他、戦争で離別した兄の原保美と友人神田隆、さらに港湾労働者の大坂志郎などのベテランに混じり、12歳のひばりが堂々と主演を務めている。
映画のラスト、美空ひばりは、キャバレーで『悲しき口笛』を歌うが、これはいつ見てもすごい!
(文中敬称略)
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