まちのお医者さんが教えます コラム❸ うつ病におけるTMS治療 薬剤以外の新たな選択肢
我が国のうつ病患者数は100万人を超えており、生涯のうち13〜15人に1人がうつ病にかかると言われています。うつ病では抗うつ薬などの薬剤を用いた治療が中心となりますが、約3割の患者さんには十分な効果がみられません。従来こうした場合には電気けいれん療法(ECT)が行われることがありましたが、近年新たな選択肢として反復経頭蓋磁気刺激治療が加わりました。
磁気刺激治療(TMS治療)は磁気を用いて脳内の特定部位を刺激する方法です。米国では2008年から使用が推奨され、日本でも19年6月に薬剤で効果不十分な場合に限り保険適用となりました。ECTでは即効性と高い治療効果が期待できますが麻酔が必要だったり、せん妄やもの忘れなどの副作用が報告されています。
TMS治療はECTに比べ効果発現は遅く治療効果も及びませんが、痛みを伴わず麻酔不要で副作用も頭痛程度と高い安全性が特徴です。薬剤で強い副作用の出る方や服薬に抵抗のある方に適しているともいえますが、現時点では保険診療の対象となっていません。
以上、うつ病治療の新たな選択肢としてTMS治療をご紹介しました。専門医の判断に基づき専門施設で行う治療ですので、ご興味のある方は一度精神科でご相談なさってみてください。
■南区医師会
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