自らの会社が所有する建築用タイルをギニア共和国に寄付した 玉野 重豊さん 睦町勤務 73歳
命あるものを大切に
○…会長を務める「タマ・アンド・ミラトン・ジャパン」が取り扱うタイルをギニア共和に寄付。大型の店舗などに使用するため、不足分に備えていたストックだが、約6千万円相当になる。「石も自然からできた物。自分の子どもと同じように愛着がある。捨てるのはもったいない」と目を細める。
○…東京・杉並出身。大学卒業後、建材商社に勤務。そこで建築現場の基本を学んだ後、妻の実家の資材会社に入った。内装や設備の仕事に携わり、タイルや石の取り扱いが増えるようになった。1993年に会社を設立。「日本よりも海外は新しいことにチャレンジしている」と次々に新規格品が生まれる欧州などの製品を輸入するのと同時に、ニーズに合ったオリジナル商品も開発してきた。有名観光地のビルや大手アパレル店、ホテル、駅など、そのタイルは全国に広がり、文字通り”足元”を支える。
○…発注元と請負先の上下関係が明確になりがちな建設業界。以前携わった都庁の工事現場で、大手ゼネコンの現場所長が下請け業者の作業員と一緒に汗を流す姿を見た。「謙虚に信頼関係を築く姿に感銘した」という。「物を売る以上、立場は違っても信頼関係が一番」と顔を合わせることの重要性を説く。
○…自宅は熱海市。500坪の中に温泉があり、都心の喧騒とは離れた場所で暮らす。動物が好きで「家の近くでタヌキが見られる」と笑う。特に犬を愛し、老犬の保護などにも尽力。「自分もそんなに先が長くない。年を重ねてから、命の尊さが分かるようになった気がする」。会社の社長は息子に任せたが、「短時間で設置ができる薄いタイルを駅などの長期間工事ができない場所に売り込みたい」と意欲は衰えない。
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