吉野町の活字鋳造所「築地活字」の社長で技術継承に向けた活動に取り組む 平工 希一さん 庚台在住 62歳
変化恐れず突き進む
○…創業100年を超える会社の5代目として25年間舵を取る。活版印刷の技術を継承する職人不足やコロナ禍での経営難などを改善しようと、クラウドファンディングで資金調達する。「自分は職人ではないので直接技術を教え伝えることはできないけど発信はできる。先人が積み上げてきた文化を未来に残したい」と熱い思いを語る。
○…吉野町出身で小学校から高校まで関東学院に通った。大学卒業後は東京都内の家電量販店に就職したが、家族からの呼び掛けもあって25歳のころに家業の経営に回った。汗を流す職人の姿を間近で見る度に、匠の技を世の中に広めたいとの思いが強くなった。「大学生のころに映画作家を目指していたので、真剣な眼差しで『ものづくり』に没頭する姿に胸を打たれた」
○…最盛期は十数人の職人がいた会社も、デジタル化などの影響を受けて今は一人だけ。活版印刷の魅力を発信し、職人の仕事に興味を持ってもらおうと、自社での体験会や見学会、関係企業と協力してワークショップを開催するなどの努力を惜しまない。少しずつではあるが、業界に関心を持つ若者も現れているという。「若い人の柔軟な発想に驚かされることが多い。既存のものに新しい価値観を加えれば文化は発展する」と話し、次代に期待を込める。
○…趣味は商店街巡り。横浜橋通商店街や弘明寺商店街はもちろん、県外の商店街にも詳しい。「お店の人と気軽に話せるところが楽しい。今はコロナであまり行けないけど、また本格的に各地に足を運びたい」と笑顔を見せる。好きな言葉は「先を明るく見よ」。「今は苦しい状況でも、明るい未来が待っていると信じていれば、きっと良い結果につながる」と突き進んでいく。
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