身近な物をキャンバスにした油絵の作品展を開いた 大山 勝治さん 川島町在住 73歳
枠、型にとらわれない
○…襖や障子、油絵用のパレット、ドア、ザル、座卓の天板、かまぼこの板、ホタテの貝殻――。身近にある、ありとあらゆる物がキャンバスへと変わる。5月末まで保土ケ谷公園内のギャラリースペースで個展を開き、「青」と「四季」をテーマに全国各地の景色を描いた約30の油絵作品を展示。日常生活の中にある品々に油絵具を乗せ描く独創性に富んだ作風は大きな話題を集めた。
○…日本三大急流に数えられる最上川を抱える山形県大石田町で生まれ育った少年は、8歳の頃から近くに暮らす画家の家に出入りするようになり絵画の世界に没頭。中学生の頃に都内で開かれた絵画展でゴッホが幼少期に描いたという犬の絵を目にした時、心に抱いた想いは鮮明だ。「後にその凄さを知ることになるんだけど、その時は自分でも描けるのではないかと感じた」。高校卒業時「画家として生きていきたい」と両親に思いのたけを伝えるも許されず、都内の大学に進学した。
○…学業に精を出すも絵画への想いは断ち切れず、創作活動を本格化。鉄鋼メーカーに就職した後も筆をとり続け、数々の作品を生み出す中、自身の作品が展示されている画廊喫茶に通い詰めるうちに奥深いコーヒーの世界が琴線に響いた。自宅を訪れる客に「どうぞ」と振る舞う一杯は豆をミルで挽き、サイフォンで淹れることにこだわる。食卓の棚には豆の挽き方に合わせタイプの異なるいくつものミルが並ぶ。
○…個展に訪れた女性と30歳で結婚。大田区内のアパートで新婚生活をスタートさせたが「部屋中が絵でいっぱいになっちゃってさ。自分は押入れに寝ていたんだもの」。豪快に笑い飛ばすが、40年前に居を構えた川島町の自宅も現在は作品で溢れる。「壁画を描きたいんだよ。町内の人たちの肖像画を描くのもいいかもな」。川島町に暮らす衰え知らずのアーティストはエネルギーに満ち溢れている。
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