日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載7 法話箋 〜鹿苑〜 「大乗仏教と小乗仏教」
釈迦は何千回、何万回も生まれ変わり、その間に修行を続け、紀元前5世紀のインドに生(せい)を受けた時にやっと悟り、仏となりました。修行中の釈迦はまだ仏とは呼ばず、菩提薩埵(ぼだいさった)(略して菩薩(ぼさつ))と呼びます。菩薩は、菩提(ぼだい)(悟りのこと)を求めて修行をする人という意味です。最初期の仏教では、釈迦の前世のみを指して菩薩と呼びました。これは、「釈迦のみが仏になる資格がある。他の修行者はせいぜい仏の一歩手前のレベル止まりだ」という考えが根底にあったからです。この考えは、小乗仏教(しょうじょうぶっきょう)の立場です。
そんな中、紀元前後頃「釈迦のみではなく、生きとし生けるものすべては釈迦のように仏になることができる」という考えが発生しました。これが大乗仏教(だいじょうぶっきょう)の主張です。誰しもが仏になる性質を持っているとする大乗思想(だいじょうしそう)は、沢山の人々の心に勇気と安心を与え、現代の日本仏教の軸にもなっているのです。
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