高津区版 掲載号:2018年3月16日号
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仏師で、高津区文化協会の第40回文化講座を受け持つ 梶原 典夫さん 上作延在住 72歳

「一生満足しない」

 ○…20本以上の彫刻刀を使い分け、多いときは1日8時間彫り続ける。滑らかな肌の質感、衣のしわ、印を結ぶ手の表情を出すために緻密に、丁寧に、掘り、刃を磨ぎ、また掘る、を繰り返す。仏像彫刻を始めて13年。「息を止めるほど」の集中力が必要な仏の表情には「未だに気に入ったものはない。一生満足できないのかもしれない」という。完成すると、また彫りたい像を求めて、全国を回る。

 ○…電気系技術者として40年以上、会社に勤めた。放送局の通信機の設計、人工衛星関連のシステムに携わり、取引先である放送局や宇宙センターのある種子島など国内外を飛び回った。「50代ぐらいまで徹夜、泊まり込みは当たり前。失敗の方が多かったけれど、出来上がったときの喜びがあった」と仕事に誇りをもっていた。だが、定年を控え、ふと「会社あっての自分。では、定年後は」と考えた。趣味を探し始めて見つけたのが仏像彫刻。「ものづくりが好きだったから。結構面白くてすぐに熱中した」

 ○…生まれは愛媛県宇和島市。木工おもちゃを手作りする父親の影響で、自身も自然にものづくりが好きになった。小学校高学年で真空管ラジオ作りにのめり込む。アルミ製の金属箱の穴あけから、捨てられたラジオの部品を取り出して一から製作。「自分で電波を出したくなった」と、次第に興味はアマチュア無線機に。当時は部品が手に入らず、秋葉原に書留を送って仕入れたことも。電波への情熱は、仕事につながった。

 ○…上作延に来て40年。現在は妻と二人で暮らす。「作業後に居間へ行くと木くずで散らかるって怒られて」と笑うが、妻が還暦を迎えた時に妻の干支の守り本尊・千手観音を彫って贈った。『この仏像の表情が一番お気に入り』と喜ばれている。2年前にまちづくり協議会に参加し、地域活動も増えてきた。「いつか、高津区に縁のある仏像も彫ってみたい」。仏像に思いを巡らせ、微笑む。

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