「グリーフケアカフェあかりmâmâ」の共同代表で、初めて講演会を企画した 國富 多香子さん 中原区在住 49歳
哀しみ乗り越え、愛を込め
○…大切な人との死別などから生じる苦痛「グリーフ」に寄り添う場を仲間と立ち上げ1年。初の講演会には100人近くが参加。「親や子を亡くした人から経験のない人まで。グリーフという言葉が浸透し、ケアの必要性を実感できた」。毎月開く会では、分かち合いの心で相談者の声に耳を傾ける。「境遇や悩みが違っても、不思議と一体感が生まれて。すぐに苦しみが消えなくても、前を向いてもらえたら」
○…中高生の頃、警官で厳格な父と距離を置くように。当直前、「行ってくるね」とかけてくれた言葉にも背中を向けたまま空返事。翌日、突然知らされた父の危篤。学校から駆けつけた病院には人工呼吸器につながれ、会話ができない父の姿があった。そして帰らぬ人に。「ごめんね。ごめんね」―。涙が止まらず、無愛想な態度をしてきた自分を責めた。そんな父に「頑張りましたね」と優しく声をかけ抱擁した看護師の行動が胸に刺さった。「こういう人間になりたい」。その決意を貫き、いま看護師として患者と向き合う。
○…父を亡くし、心にぽっかり空いた黒い穴。就職後、大好きな伯父が自死。「大晦日に帰れない」という連絡が最後となり、「理由を聞いてあげていたら変わっていたかも」。またも自責の念に駆られた。深まる黒い穴を緩和できたのはグリーフケアの存在。「患者さんの家族だったらどう接するか」―自身の看護観にも反映している。
○…隙間時間に、夫や愛犬と鎌倉や海に出掛ける何気ない日常が幸せ。たまに行くキャンプには大学生の息子も参加。「私の境遇を気遣ってくれているのかな」。一緒に暮らす母とは時々父の話にも。「たかちゃん、がんばりなさい」―父の言葉に背中を押され、ひたむきに前を見つめる。
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2月7日