てくのかわさき(川崎市生活文化会館)の館長に就任した 石井 秀典さん 溝口在勤 50歳
心寄せ 技術と人つなぐ
○…ものづくり技術の継承、そして技能職者と市民の交流の場を掲げる「てくのかわさき」。副館長を3年務め4月から館長に就任した。責任者として施設の管理運営を担うが「やっていることは雑務」と微笑む。講座の会場準備や壊れたドアの修理、時には植栽の手入れまで、日々館内を飛び回る。「机に向かっている方が少ない。築50年の古い建物だけど、気持ちよく使って欲しいから」と穏やかに話す。
○…出身は宮城県登米市。同館を運営する神奈川県労働福祉協会への就職を機に横浜へ。最初の配属は寿町の日雇い労働者向けの職業紹介所。みなとみらい開発の貴重な戦力として、数百社の求人を1日100人以上に紹介したことも。場所柄、生活困窮者のサポートも担い、一人ひとりにさまざまな背景があることを知った。「無理に『普通』の生活に戻そうとするのが正しいとは限らない」。福祉の難しさも実感した。「相手が何を求めているのか見極めること」。今も胸に刻む信条だ。
○…夫人と共働きで娘3人の保育園の送迎を足かけ14年担当した。「普通ですよ」とにっこり。「娘に嫌われる時期があると聞くが今のところない。昨日も次女と帰ってきた」。自身の社会人サークルの練習に連れて行っていた影響か、子どもたちもバレーボールチームに所属。休日に試合を見に行ったりと家族との時間を大切にする。
○…「どんな仕事もまずは相手の気持ちを聴くことが大事」。言葉じりでない本心を推し量り、思いに寄り添ってきた。ここ2年は思うように講座やイベントができず、コロナ下の運営の難しさを痛感。「本来の目的である技能職者の活躍の場の提供のため、状況を見極めて運営していく」。決意新たに前を向く。
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5月3日