今年も熱戦が繰り広げられた「全国高校野球選手権神奈川大会」。190校が乱立する激しい戦いの中、準優勝となったのは向上高校(伊勢原市)だ。
「専用グラウンドも寮もなくても高校野球は勝てるんだって証明しよう」。グラウンドはサッカー部やラグビー部と共用で、選手寮も入部制限もない。ほぼ近隣に住む学生で結成された向上ナインは「強豪校」との環境の差をものともしなかった。その1番バッターを務めたのは大谷在住の三廻部憂磨さん(3年)だ。
小学4年のときに少年野球チーム「海老名フレンズ」で野球を始めた。小学6年から横浜市の「瀬谷リトルシニア」に移籍。トレーニングの一環として10Kmの道のりを自転車で通った。
向上高校に見学に訪れた際、三廻部さんに平田隆康監督が言った。「グラウンド狭いだろ、それでも甲子園を目指している」。甲子園に行って当然のチームでやるよりも、勝ち上がっていく野球がしたいと以前から考えていた三廻部さんは即、入学を決意した。
部員数110人を超すチームの中で、1年秋から背番号8番を背負う。監督と選手の距離が近く、のびのびとプレーする環境の中で、精神面でも成長した。「中学では荒れた時期もあったけれど、生活態度も良くなり、目上の人と話すのが楽しくなりました」
決勝戦の直後、三廻部さんは後輩にこう話した。「本当は明日はオフだけど、この夏の気持ちはお前らにしか分からないよな」。その一言で、翌日から新チームが始動。
「甲子園は後輩に託します。彼らならやってくれると思います」。そう語る表情は自信に満ちていた。
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