一般財団法人春秋会(本多緑子理事長)が上河内で運営する認可保育園「さくら愛子園」を3月31日付で廃園とすることを前提に準備を進めていることが明らかになった。1月23日に市に対して協議申し入れ書を提出したことに端を発し動きが表面化。市はこれを受け13日、14日の2日間、保護者向けの説明会を開催したが、新年度まで2カ月を切った時期に4月以降の保育先が不透明な状況にある在園児の保護者の間からは、行政、法人、双方への不満が広がりをみせており、着地点を見いだせないまま「保育難民」状態となる可能性も出てきた。
〔2月18日起稿〕
不明瞭な説明に保護者ら困惑
海老名市と法人の間で1年にわたり継続してきたさくら愛子園内の市有地を巡る土地の使用貸借契約協議が不調に終わり、廃園の危機に瀕する事態に発展した経緯や、廃園になった場合の市の対応策を示した説明会は2日間ともに3時間に及んだ。
春秋会が示す廃園期限3月31日まで1カ月半。押し迫った状況の中で「次の行き先を検討してほしい」という市の説明に「愛子園に子どもを預け仕事をするというこれまでの当たり前の生活が変わりかねない。子どもも動揺している」「事態をもっと早く知ることができれば余裕をもって対応できた。なぜ押し迫った段階まで私たちは事態を知ることができなかったのか」「何しろ子どものことを考えて行動してほしい」など、声を震わせ涙ながらに、思いを訴える保護者の姿も見られた。
市長、法人との3者対話求める
2日間を通じて保護者の多くが求めたのが市長、法人幹部、保護者との「3者での話し合い」だ。
内野優市長は13日は「県知事らとの意見交換会出席」、14日は「東柏ケ谷の自治会行事出席」を理由に説明会会場に姿を見せず、春秋会関係者も「市からの要請はなかった」と2日とも会場に姿はない状況で、煮え切らない説明を繰り返す職員の対応に14日の説明会では保護者のひとりが「物事を決定できる人間がいない。責任者不在の状況では事が進まず意味がない」と、3者対話の場を求めその場で市長と春秋会幹部に連絡を取ることを要求。急きょ職員が市長に連絡を入れる事態に発展した。
その後、春秋会幹部も説明会への出席を受け入れ、2月21日(土)に3者での話し合いがもたれる方向で調整が進められている。
保護者のひとりは「こういった場を設けられるようになれば感謝したい。保護者と園児は巻き込まれた形で実のある話し合いをしたい」と話している。
市による園舎買上げ・借受け「前向きに検討できる」―春秋会
2日間ともに多く聞かれた「市がさくら愛子園を買い取るか、借り受け園を存続させることはできないか」という声について市は「現段階ではそういった考えはない。代替案を示しているのでご理解いただきたい。しかしこういった声があるということは重く受け止め内部で検討する」とした。
一方の春秋会幹部は市による園舎の買い取りまたは借り受けに関し、「保育園は公のものであると考えている。市から正式な要請が寄せられれば、非常に前向きな形で検討できると考えている」と本紙取材に対し答えた。
行政の対策案
説明会で市は終始、「さくら愛子園の継続をお願いしていく」と繰り返していたが、廃園となった場合の対応策も示した。
4月1日時点で1・2歳の子どもについては中新田保育園の「ぴよぴよ棟」、3・4・5歳児については中新田保育園西側に「待機児童対策」として建設することが決まったプレハブの増築棟が完成するまで、当面の間は本郷コミュニティセンター2階で保育を実施するという。
コミセン内での保育については安全面や保育の質の低下を懸念する声もあがったが、市は過去にも柏ケ谷保育園や下今泉保育園の改修時に近隣のコミセン内で保育を実施した実績を強調。すでに保育士が本郷コミセンの視察を済ませており、「愛子園と全く同じとは言えないが、一定の保育をすることは可能と考えている」と示した。
法人の対策案
春秋会は在園児の処遇について河原口と国分北にある系列園で受け入れる用意があると2月3日に市に通知している。2園は市域中央部、北部にあるため保護者らは説明会で市にバス運行を求めたが、市は「法人側が運行すべきと考えている」と答えた。
県県民局次世代育成課によると廃園へ向けた手続きは1カ月前までに市町村承認調書と在園児の処遇先を明記した書類を添付した「保育所廃止申請届」の提出が必要だが、17日時点では確認されていないという。
廃園となった場合、79人の在園児は行政案、法人案、他の保育園や幼稚園などへの転園といった選択を早急に下す必要に迫られる。
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