海老名市立郷土資料館「温故館」(国分南1の6の36)で「第37回温故館企画展『河原口坊中遺跡展』」が10月19日から行われる。2000年前の弥生時代の暮らしが伺える土器などが多数出土していることや木製品が原型のまま発見されていることも珍しいとされており、同企画では展示解説や講座など、様々な視点から遺跡や当時の暮らしを見ることができる。
さがみ縦貫道路の建設や河川改修工事などの事前調査として2006年から6年にわたり、発掘が行われた「河原口坊中遺跡」。調査結果から弥生時代の竪穴式住居が見つかり、約500棟の大規模集落があったことが分かった。また300点を超える出土品も発見され、当時の暮らしが推測できる材料が見つかった。
中でも注目されたのは長さ28・5cm、重さ604・6gの板状鉄斧。これは斧として利用されていたのではなく、権威の象徴として墓に入れるケースが多いもので、東日本では初の出土となった。弥生時代の原料から鉄を生産する技術が日本に無かったことから朝鮮半島から運ばれてきたものと予想されている。
多数の出土品がある中、木製品が原型のまま発見されたのも同遺跡の特徴。市内にある遺跡の多くは台地上にあり、土中に含むバクテリアによって木製品が分解されてしまう。3〜8m下に川の跡が発見された同遺跡では水分を多く含んだ泥が真空パックの代わりになり、臼や杵といった木製品の保存状態が良いまま残っていた。このような木製品の発見は県央では珍しい。
また、縦8cm、横4cmほどの小銅鐸が完全な形で出土したのは県内3つ目の発見だった。このほか、魚を捕獲していた「遺構」や土器などもあり、様々な点から当時の暮らしを伺える。
市教育委員会では「県内でも珍しいものが出土され、市内では初展示。ご覧いただければ」と話している。
プロによる解説も
発掘調査担当者による「展示解説」は10月21日、11月4日、29日に開催。弥生時代の暮らしが分かる「考古学講座」は11月5日、鉄斧から遺跡を探る「公開セミナー」は11月23日に行われる。また、遺跡にちなんだ缶バッジやポストカード作成の体験ワークショップも開催される。
詳細内容や申込みは市教委文化財係【電話】046・235・4925へ。
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