創業130周年記念で書籍を自費出版した(株)大川印刷の代表取締役社長 大川 哲郎さん 南区在住 45歳
紙とインクに真心込め
○…1881年に横浜で創業した(株)大川印刷を支える6代目。創業130周年を迎え、昨年は昭和初期に当時の社長が銀婚式をあげた思い出の場所で社員と節目を祝い、先日は2代目の重吉氏が自身の生い立ちや横浜の変遷をつづった書籍を自費出版した。1世紀の時を超え、進む活字の電子化で厳しい風が吹く印刷業界。しかし、鮮明なまま保存される創業期の自社製品を示し、「印刷物の残る力はデジタルにも負けない。紙ならではの手触りや風合い、人間の感性に働きかけるものは必ず残る」。
○…薬種貿易商の家庭に生まれた初代社長。幼少から身近にあった海外の薬のラベルの美しさに魅せられ、後の創業に至った。現在もコアビジネスと位置付ける医薬品の添付文書やパッケージの印刷には、「品質が変化すれば命にもかかわる」と細心の注意を注ぐ。かつて得意な外国語を活かして輸入された薬のラベルを翻訳し、印刷していたという創業者。時代は異なれど、仕事に向かう真摯な思いは脈々と受け継がれている。
○…趣味は学生時代から続く音楽。社歌の作詞作曲にも携わった。「社会貢献バンド」と呼ぶグループでボーカルやギターを担当し、高齢者や障害者の施設を巡って演奏を披露することもある。経営者仲間はゴルフばかりだが、音楽なら人を楽しませることもできる。「社長席の傍らにはいつもギターケースがあるんです」。そう言って、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
○…あらゆる業界と付き合える職種であるため、地域の情報や課題も多く集まる印刷会社。年賀状印刷など個人とのつながりも深い。近年は商店会と共同で事業に取り組むなど地域とのつながりづくりも盛んだ。以前、社員に行った仕事での喜びに対するアンケートで多かった回答は、人からありがとうと言われること。「社員の満足度向上は地域社会の幸福につながる」と信じ、皆の幸福を願って邁進する日々だ。
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4月18日