11月3日から舞岡ふるさと村虹の家で展覧会を開催する「龍樹会(たつきかい)」の代表 鶴水 喜彦さん 汲沢在住 76歳
表情豊かな能面の魅力
○…能面を作り始めたきっかけは、約25年前に胆石と盲腸を患い、入院したこと。初めての病気と入院で不安を感じ、「後世に残るものが作りたい」と強く思った。そんな時、鎌倉の寺で石像を見て「彫刻なら半永久的に作品を残せるのでは」。戸塚駅西口の旧西友にあったカルチャーセンターで彫刻家が開く講座「面を彫る」を見つけるとすぐに入会。センターが閉鎖すると、受講生仲間で「龍樹会」を発足した。
○…センターの閉鎖や講師の他界など面作りをやめるタイミングは多かったが、「完成しないからやめられない」。今まで70枚以上の能面を作ってきたが、満足できる作品にはいまだにたどり着けない。作品の表情は、年々変わっていく。仲間と集まると「体力が落ちたから、面の表情が弱弱しくなった」などと冗談が飛び交うが、創作は真剣。迫力のある般若など大胆な作品も、わざと古く見せる「古色」を施すなど、細かい所に技術とこだわりが光る。
○…能面は「無表情」というイメージがあるが、「実は表情豊か」。特に変幻自在に表情を変えるのは「女面」。舞台では最初から最後まで同じ面を使うため、仕草や顔の角度によって、笑顔にも、泣き顔にも、怒っているようにも見せなくてはいけない。作るのが一番難しい。最初に教わったのも女面だったが、今でも苦手。「女性は、奥深い」
○…能面作りを始めたころは、製薬会社で薬の研究をしていた。「能なんて見たこともなかったよ」。メンバーの大半は、能面を作るまで、能の舞台も面も見たことがなかった。「能って聞くと取っ付きにくい気がするけど、全然。私たちはみんな素人だから」。能は最近、外国で人気があるという。孫の友人であるアメリカ人からの要望で能面をプレゼントしたこともある。「日本で『怖いからヤダ』なんて言われることもあるのに」と苦笑。日本でも、気軽に能を受け入れてもらえる日が来ることを望んでいる。
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4月18日