4月から横浜市営地下鉄戸塚駅の駅長を務める 西島 務さん 南区在住 58歳
仕事に、家族に全力で
○…市営地下鉄戸塚駅が誕生して約30年。「歴史と伝統がある駅。戸塚駅の歴史の1ページをしっかりと刻んでいきたい」と意気込む。追い求めるのはもちろん、乗客にとっての「利用しやすさ」だ。「駅長として、職員の能力を引き出し、団結力を強めていきたい」
○…鉄道が時刻ぴったりに駅へと到着し、数秒の誤差もなく発車する。そんな「当たり前」の光景をつくるのは「けっこう大変」と苦笑する。「毎日、数秒単位で調整している。でも、『縁の下の力持ち』でいられることが、この仕事の魅力ですね」。約40年の勤務でとりわけ記憶に残るのが、東日本大震災が発生した日だ。当時は地下鉄横浜駅に勤務し、職員に指示を送る立場だった。運行停止、停電に伴うエレベーターの閉じ込め、病人の発生、クレーム、いたずら…「すべてのトラブルが同時に起きた日」という。それでも最後まで対応したことは大きな財産だ。「あれ以来、肝が据わった気がします」
○…高校卒業後、横浜市交通局に入局した。「人の役に立ちたい」という大きな志とともに勤務を始めたが、当初は「24時間勤務・10日間出社」というサイクルに戸惑いもあった。「近所から『プラプラしている』と噂もされた。これでいいのかと悩んだ」と明かす。しかし結婚し子どもが生まれてからは、その時間が何より尊いものとなった。「子どもたちとずっと仲がいいのは、当時のスキンシップのおかげ」。今でも家族の誕生日前後には、皆で旅行に出かけるのが恒例だという。「来月には孫が生まれるんです」。下がる目じりに、家族愛が見て取れる。
○…将来を考え、頭に浮かべるのは、亡き父の姿だ。あれほど旅行が好きだったのに、がんのためやせ細り、歩くこともできなくなった。「今日死んでもいいと思うくらい、毎日毎日、一生懸命生きないと。実際は死ぬわけにいかないですけど、そんな気持ちでね」。仕事に家族に、今日も全力だ。
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4月18日