北寺尾在住の吉川攻さん(70)がこのほど、父の弟で叔父にあたる吉川幸夫さんの戦争遺品を鶴見歴史の会に寄付した。戦地からの手紙など貴重な資料が多く、同会は戦後70年をテーマに、9月16日から行う郷土史展で公開する予定だという。
吉川さんの叔父・幸夫さんは、1939年1月に入隊後、幹部候補生として千葉県四街道野戦砲兵学校に入校。中国・南京などの戦地を経て、43年1月、当時陸軍中尉として、最前線だったガダルカナル島で戦死した。27歳だった。その一カ月後、戦局が悪化し、日本軍はガダルカナル島から撤退している。
整理前に相談
今回の寄付は、吉川さんが親交のあった歴史の会会員の一人、箸秀子さんに相談したのがきっかけだ。
「(叔父の)遺影があって、戦死したことは知っていたが、一緒に住んでいた祖母も父も多くを語らなかった」と吉川さん。遺品は終戦間際の戦災も逃れ、長年保管されていたが、自分の代になり整理しようと考えていたという。
「ずっとしまってあったもの。今年は節目の年。活用してくれるならありがたい」と、吉川さんは寄付を決めた理由を話す。
貴重な資料多数
遺品は、学校時代の写真に、戦地から家族あてに送った手紙やハガキ、軍隊手帳、出征時に近所の人が名を寄せた日の丸の旗など。また、戦死した時期が、戦局の悪化する前だったこともあってか、天皇陛下からの香典にあたる「祭粢(さいし)料」と書かれた袋などもあった。
歴史の会によると、中でも数多く残る手紙は珍しいという。日本に残した弟を心配する様子や、ともに出兵していた兄の秀夫さんとのやり取りなどが垣間見え、箸さんは「戦うことが当たり前の時代。まだ、ゆとりがあった雰囲気が見て取れる」と分析する。
9月に郷土史展で公開
今回寄付された遺品は、歴史の会主催で、9月16日から18日まで鶴見区役所を会場に開かれる郷土史展で展示される。
今後同会は、遺品の公開に向け、手紙の読み解きなど資料を整理していく。
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