地域住民らにより結成された生麦の道100年紀委員会が、街角に佇む稲荷社にスポットをあてるという新たな試みの一つ、「生麦いなりフェス」(八木下勝之実行委員長)を2月12日、生神明社=生麦3の13の37=で開く。江戸から続く「稲荷講」の文化継承と、油揚げを使った名物づくりが狙いだ。
同委員会は、生麦周辺に根付く埋もれた文化や歴史を次世代につなごうと、ガイド付きウォーキングや伝統芸能の集いなどを企画。今回、地域住民に生麦の文化を伝えるため、新たな取組に挑戦する。
減りゆく「講」の風習
稲荷講は、五穀をつかさどる食物の神をまつった稲荷を信仰する住民らで組織される団体。街中の稲荷社ごとに近隣の住民らが講を組織し、2月最初の午の日(初午)に、お祝いの儀式として初午祭などを行っていた。講では一年ごとに「宿」と呼ばれる家を決め、稲荷社での儀式後、集まって宴を開いていた。
生麦周辺で風習が残るのは、道念稲荷神社=生麦4丁目。昔ながらの方法で初午祭を毎年開催している。会場となる神明社も行っているが、周辺5町会での主催だという。同委員会は、「稲荷講自体は近隣住民で組織されるため、あまり知られていない」と話す。
実行委員長を務める住宅地町内会の八木下会長は、「昭和30年代ごろは当たり前にあった。太鼓をリヤカーに積んで、家々にさい銭をもらって回るのも風習だった」と振り返る。
油揚げで名物づくり
実行委員会では、企画にあたり、国道駅から生麦側の稲荷社を探索。現段階で21社発見している。
「地域にあった稲荷講を知ってもらいたい」。そんな思いから、立ち上がった企画。初午祭で油揚げを供えることが、いなり寿司の由来となったことから、名物づくりも目的とした。
当日は、近隣の飲食店など10店舗以上が出店。油揚げを使ったオリジナルメニューなどが並ぶ予定だ。
また、民謡や生麦小学校金管バンドなどのステージ(午前11時〜)も用意。稲荷神社のガイドもある。
時間は午前11時〜午後4時。入場無料。小雨決行。
18年ぶりの舞も
区内を中心に活動する生麦囃子保存会が、同フェスに合わせ、18年ぶりとなる「天狐の舞」を当日のステージで披露する。
この舞は、稲荷社の神の使いとされる狐の面をつけた踊り手が、笛や太鼓に合わせ舞うもの。
同保存会の八木下努会長によると、天狐の舞は先代から引き継いでいたが、これまで役が揃わずできなかったのだという。「市内でも他にできるところは少ないのでは」と貴重な機会だとしている。
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