子どもたちのために――一人の親の思いから始まった企画「障害児のための乗馬体験」が、5月19日、馬場にある入江川遊水地スポーツ広場であった。開催にあたっては、寺尾や馬場周辺の9自治会の会長から成る団体「寺尾奉行」などが支援。大人も含めた約100人がホースセラピーを体験した。
ホースセラピーは、乗馬などによって障害や病気を改善させるリハビリだ。企画したのは、小児脳性まひの双子をもつ、東寺尾在住の熊木佳子さん。もともとセラピーを受けさせていたことがきっかけだった。
開催には、区社会福祉協議会や駒岡、馬場、東寺尾の各地域ケアプラザが協力。寺尾奉行は、熊木さんから相談を受けたケアプラザ職員に話を聞き、主催に名を連ねた。
「初めは場所を貸してほしいということだったが、個人主催よりも地元の団体の方が良いと思った。誰かが喜んでくれるならやろうと、みんなで決めた」と寺尾奉行の一人で、寺尾第二地区連合会の宮野昌夫会長は一肌脱いだ経緯を振り返る。
3頭の馬に笑顔
当日は熊木さんも通う御殿場カルチャーファームが計3頭を用意。約80人の障害児らが参加した。会場には、初めは緊張した面持ちながらも、馬の背に揺られて遊水地のグラウンドを周回するうち、笑顔になる子どもたちの姿があった。
熊木さんは「たくさんの人たちが助けてくれたおかげ。本当にありがたい」と謝意を示し、「定期的にできるようになれば」と意欲を見せた。
「近くなら」の声に一人で発案
リハビリに良いと思うことは何でもやってきたという熊木さん。「脳にも体にも良い刺激を求める人生」と笑う。
そんな中で出会ったのがホースセラピーだ。この日出張を請け負った御殿場カルチャーファームには、7年前、子どもが1歳だった時から通う。
「ほかの何よりも楽しそうにやる。馬に乗った帰り道はすごく喋るんです」。熊木さんが実感した良さを友人たちに伝えたが、簡単に通える距離ではなく、「近くなら」という声が大半だった。
「近くで開きたい」。同ファーム協力のもと行われている東京都東大和市の出張セラピーも見学。「場所があれば」と同ファームから承諾を得て昨年から動き始めたが、最初に相談した鶴見区などから良い返事はもらえなかった。
奮闘1年で実現
今年に入り、以前参加した区社協の企画で、職員と名刺交換していたことを思い出し、企画実施のノウハウを聞きたいと連絡した。「そこからは早かった。寺尾奉行の皆さんに話が伝わり、すぐに場所と日時が決まった」。奮闘を始めて約1年、実現にこぎつけた。
同ファームの野口操子さんは「東大和は保護者が中心。社協や地元の支援があるのはすばらしい」と語る。宮野さんは「我々も良い経験をさせてもらった。今後もできる範囲で協力したい」と話した。
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