新時代「令和」の幕が開けた。横浜市の推計によると、鶴見区は今後20年以上にわたり人口増加が予想されている。人口のピークとされる2042年(令和24)には31万人を数える。市全体が今年ピークを迎えることを考えると、鶴見は人口減少社会の中でもさまざまな可能性を多く秘めたまちだといえる。そんなまちの未来を支える柱の一つ、大黒ふ頭客船ターミナルがこのほど完成した。新たに開かれた港とともに、鶴見区のまちづくりの未来を探る。
大黒ふ頭客船ターミナル=鶴見区大黒ふ頭13=は、近年大型化が進み、横浜ベイブリッジをくぐれない超大型客船を受け入れるための施設として整備された。もともとあった自動車専用船の貨物岸壁を改良。超大型客船に対応した上で、CIQ(税関・出入国管理・検疫)施設などを建設した。
グランドオープンとなった4月19日、英船籍で世界的人気を誇る豪華客船「クイーン・エリザベス」(QE/9万900トン)が第1船として3年ぶりに着岸。記念セレモニーに華を添えた。
林文子横浜市長は、1975年にQE2号が大さん橋に初入港した際、52万人が詰めかけた熱狂ぶりに触れ、「熱は冷めることなく、この日を待ち望んでいた」とあいさつ。「市内の子どもたちが船を通して世界の文化を学ぶ機会が増える」と完成を喜んだ。
セレモニーでは国交省の阿達雅志政務官が、「日本をリードする施設。ハード、ソフトの両面から支援していく」とメッセージを寄せ、観光立国をうたう国からの期待が高いこともうかがわせた。
20回以上寄港
市港湾局によると、横浜港全体の今年一年間のクルーズ客船寄港数は、過去最高の190回以上となるという。そのうち、大黒ふ頭には20回以上が寄港する予定だ。
市は、今後も客船の大型化は進むとし、大黒ふ頭への寄港数は増えていくと予測。今秋、みなとみらい地区で共用が開始される新港ふ頭客船ターミナルと合わせ、横浜港の内外でさまざまな客船を受け入れ、訪日外国人を取り込んでいく考えだ。
観光の土壌づくり必要
また、大黒ふ頭の整備に合わせ、ベイブリッジ下の展望施設「スカイウォーク」も9年ぶりに復活。客船の寄港に合わせた限定開放となるが、大型客船を見渡せる位置にあり、クルーズ人気とともに新たなスポットとして再注目を集める。5日と6日には、見学会が企画されている。
区内で飲食店を営む事業者は、「多くの人を呼び込むきっかけになれば」と期待する一方で、「まだ観光客を受け入れる土壌が出来ていない。そのあたりも地元で醸成していかないと」と話した。
鶴見区はこのほど、今後20年間を目安として、まちづくりの基本的な方針となる「都市計画マスタープラン鶴見区プラン」の改定原案を公表した。5月7日から21日まで市民意見を募集する。
原案は昨年11月、区がまとめた素案に対する意見を募った上で、一部変更したもの。
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区によると、主な変更点は、鶴見駅周辺の利便性や拠点機能の充実、スポーツに関連した区民利用施設についての項目など8項目。
鶴見駅周辺の項目には、公共交通網の充実として、「大型バス等の受け入れ環境充実」を明記。鶴見駅東口側に、観光バスの停車場所の確保を目ざす。
現状、区内にはバスの発着場所がなく、区は「まずは1台分つくり、状況をみたい」との方向性を示す。「千客万来つるみ」を掲げ、区内外から人を呼び込む事業を展開する区は、「完成した大黒ふ頭客船ターミナルを使わない手はない」とする。
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さらに、鶴見駅周辺の利便性向上として、JRへの中距離電車停車に向けたホーム設置、駅舎改良の検討のほか、バスターミナル上部への歩行者デッキ等の整備にも触れている。
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区民利用施設の活用に関しては、今年9月のラグビーW杯や、来年の東京五輪・パラリンピックなどで運動する機運が高まるにもかかわらず、区内には気軽に体を動かせる場所が少ないとして、「身近な場所でスポーツに親しむ場づくりを進める」との文言を加えた。
原案は区ホームページ(https://www.city.yokohama.lg.jp/tsurumi/)で公開中。区役所5階、区内各地区センターなどでも閲覧できる。今回の意見募集を踏まえ、今年度中に確定する。
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